Rana tagoi okiensis Daito, 1969
両生綱 > 無尾目 > アカガエル科 > アカガエル属 > オキタゴガエル
概要
[大きさ]
[説明]
隠岐島にのみ生息する固有亜種。 タゴガエルと比べて鼻先が円いなど形態差は大きい。 本種の学名は学会要旨で提唱されたのみで、正式な記載は行われていない
[保全状況]
環境省レッドリスト2017-準絶滅危惧種 島根県レッドデータブック2014-準絶滅危惧種
分類
[分類]
両生綱 > 無尾目 > アカガエル科 > アカガエル属 > オキタゴガエル
[タイプ産地]
[説明]
核型、幼生の形態差から基亜種タゴガエルR. tagoi tagoi より分けられたが、本種の学名は学会要旨で提唱されたのみで、正式な記載は行われていない[1, 6]。 交雑実験では、タゴガエル♀と本亜種♂から産まれるのは全て不妊の♂となる。また、ナガレタゴガエルR. sakuraii とも雑種不妊で隔離されている[2, 3]。 ミトコンドリアDNAの系統樹上ではタゴガエルやナガレタゴガエルから独立した系統を成し、核DNAの系統樹上ではタゴガエル大型集団の一部やヤクシマタゴガエルR. t. yakushimensis と同じ系統となる[4, 6]。
体の特徴
[形態]
背面は赤褐色~茶褐色で、背面に黒や灰色の斑模様が入ることもあり、変異に富む。 喉は白地で、黒い斑模様が入るときもある。 体は寸動で、手足は太く短め。 背側線隆条は明瞭で、鼓膜の後ろ側で曲がる。 後肢の趾には水掻きがあるものの、あまり発達しない。
[似た種との違い] [6]
隠岐島に分布する似た種としてニホンアカガエルがあげられる。見分け方として、オキタゴガエルの背側線隆条が鼓膜の後ろ側で曲がるのに対し、ニホンアカガエルは曲がらず真っ直ぐである点があげられる。
ニホンアカガエル オキタゴガエル
基亜種タゴガエルR. tagoi tagoi と比べ、オキタゴガエルの鼻先は円い。
オキタゴガエル タゴガエル
生態
[食性]
近縁なタゴガエルは昆虫類、クモ類、陸貝を捕食する[6]。
[繁殖]
[卵]
蔵卵数は150個ほどで、球形の卵塊として産む[6]。
[幼生]
幼生は23mmほどまで成長し、歯式には変異が多い[6]。
執筆者:高田賢人
引用・参考文献
大東義徹. 1969. オキタゴガエルについて(内分泌・遺伝・細胞)<講演要旨>. 動物学雑誌78: 406. 大東義徹. 1999. タゴガエル類における交配後隔離の発達についてⅢ. オキタゴガエル♀とナガレタゴガエル♂との交配子孫. 両生類誌(2): 23–29. 大東義徹・平本武蔵・好本行秀. 1998. タゴガエル類における交配後隔離の発達について: Ⅱ タゴガエル♀とオキタゴガエル♂の交配子孫について. 神戸大発達科学研究紀要5(2): 237–244. Eto, K., Matsui, M. 2014. Cytonuclear discordance and historical demography of two brown frogs, Rana tagoi and R. sakuraii (Amphibia: Ranidae). Molecular Phylogenetics and Evolution 79: 231–239. 岩田貴之. 2014. オキタゴガエル. 改訂しまねレッドデータブック2014動物編. 島根県環境生活部自然環境課, 島根. p74. 松井正文・前田憲男. 2018. 日本産カエル大鑑. 株式会社文一総合出版, 東京. 272pp.