アムールカナヘビ

Takydromus amurensis Peters, 1881

爬虫綱 > 有鱗目 > カナヘビ科 > カナヘビ属 > アムールカナヘビ

  • 成体オス(対馬上島)
概要

[大きさ][1,2] 

  • 頭胴長: 55–78 mm
  • 尾長:130–180 mm
  • 尾長は頭胴長の230%程度

[説明][1,2]

  • 昼行性で日光浴を行う
  • 背面に胴部から尾部まで連続する楔形の暗褐色斑を持つ
  • 卵生:一度に6個ほど産卵する
  • 冬季には土中で冬眠する

[保全状況][3,4]

  • 環境省レッドリスト(2020):準絶滅危惧
  • 長崎県レッドリスト(2022):絶滅危惧Ⅱ類
分布

[分布][1]

  • 日本国内:対馬
    • 聞き取り調査において下対馬の厳原での目撃情報があるものの[11],のちの調査では確認されず[12],現在までに下対馬での生息は確認されていない[8]
  • 海外:朝鮮半島からロシア沿岸地方南部、中国北東部

[生息環境][1,12]

  • 草むらや林縁部
  • 山岳や丘陵地帯の川沿いに多い
分類

[分類]

爬虫綱 > 有鱗目 > カナヘビ科 > カナヘビ属 > アムールカナヘビ

[タイプ産地][5,6]

  • Kissakewitsch :ロシアのアムール川流域の地名

[説明][7]

  • 本種はニホンカナヘビ T. tachydromoidesよりも、ミヤコカナヘビ T. toyamai、タイワンカナヘビ T. formosanus、キタカナヘビ T. septentrionalisなどを含む、台湾や中国本土を中心に分布するグループに近縁である
  • 本種は1965年に比田勝中学校に保存されていた本種の標本が発見されたことが発端となり、現地での採集が行われ日本での分布が確認された[8,11]
体の特徴

[形態][1]

  • 褐色の胴体
  • 口唇板に暗褐色の斑紋がある
  • 背面に胴部から尾部まで連続する楔形の暗褐色斑を持つ
  • 鼠蹊孔は3–4対
    • 大陸産のアムールカナヘビは3対だが,対馬産の本種の鼠蹊孔は4対が多い[12]
  • 背板列数は6または8列
  • 背板には隆条があり、前後に繋がりあって6本の連続した隆条を形成する

[似た種との違い]

  • 日本国内においてアムールカナヘビが分布する対馬には、ツシマスベトカゲが分布しているが、背板に隆条があることで区別することができる
  • 本州に広く分布するニホンカナヘビと形態的によく似ているものの,唇部分に黒斑があること、また、背面に胴部から尾部にかけて連続する楔形の暗褐色斑があることでニホンカナヘビと区別することができる。また、ニホンカナヘビが鼠蹊孔が2対なのに対し、アムールカナヘビは3–4対を持つ。

ツシマスベトカゲ

アムールカナヘビ

ニホンカナヘビ

生態

[生活史][2,9]

  • 選好体温は32.55 ± 0.46℃
  • 捕食回避のために土の中に潜ることがある

[食性][10]

  • 実験環境下ではクモ類、ジムカデ目、イシムカデ目、ゴミムシダマシ科の幼虫、双翅目、チャバネゴキブリ科、コオロギ科を好んで食べることが知られる

[繁殖][1,2]

  • 生まれてから二年程度で性成熟をする
  • 繁殖期:4月から8月初旬
  • 年に二回ほど産卵し,一回の産卵数は3–8個程度
  • 卵は穴を掘った土の中に完全に埋める
  • 孵化直後の幼体の頭胴長は25 ㎜ (全長:70 mm)

[被食][2]

  • 主要な捕食者はニホンカナヘビと同様であると考えられ、鳥類やアカマダラに捕食されていると考えられる

執筆者:伊與田翔太

  1. 日本爬虫両棲類学会 編. (2021). 新日本両生爬虫類図鑑. サンライズ出版. 彦根.
  2. 竹中 践. (1996). 日高敏隆(監), 千石正一, 疋田努, 松井正文, 仲谷一宏(編), 日本動物大百科5 両生類・爬虫類・軟骨魚類, 平凡社: 78–82.
  3. 環境省. (2020) 環境省レッドリスト2020. https://www.env.go.jp/content/900515981.pdf(2024年4月2日アクセス).
  4. 長崎県.(2022) 長崎県レッドリスト2022. https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2022/03/1648644060-4.pdf (2024年4月2日アクセス).
  5. Peters, WILHELM C. H. (1881). Einige herpetologische Mittheilungen. 1. Uebersicht der zu den Familien der Typhlopes und Stenostomi gehörigen Gattungen oder Untergattungen. 2. Ueber eine neue Art von Tachydromus aus dem Amurlande. 3. Ueber die von Herrn Dr. finsch aus Polynesien g Sitzungs-Ber. Gesellsch.Naturforsch. Freunde Berlin, 1881 (4): 69-72.
  6. The reptiles database. https://reptile-database.reptarium.cz/species?genus=Takydromus&species=amurensis(2024年4月3日アクセス)
  7. Pyron, R. A., Burbrink, F. T., & Wiens, J. J. (2013). A phylogeny and revised classification of Squamata, including 4161 species of lizards and snakes. BMC evolutionary biology13: 1-54.
  8. 竹中 践. https://grasslizard3.sakura.ne.jp/amurkanahebi.html(2024年4月6日アクセス)
  9. Hao, X., Tao, S., Meng, Y., Liu, J., Cui, L., Liu, W., … & Zhao, W. (2020). Thermal biology of cold-climate distributed Heilongjiang grass lizard, Takydromus amurensis. Asian Herpetological Research11(4), 350-359.
  10. Portniagina, E. Y., & Maslova, I. V. (2017). Individual aspects of Takydromus wolteri and Takydromus amurensis biology. Samara Journal of Science, 6(4), 61-66.
  11. 柴田保彦. (1966). 対馬のアムールカナヘビ.大阪市立自然科学博物館研究報告,19,13–17.
  12. 竹中践. (1987). 対馬産アムールカナヘビとツシマスベトカゲについて.「対馬の自然」対馬自然資源調査報告書: 161-173.