スウィンホーキノボリトカゲ

Diploderma swinhonis (Günther, 1864)

爬虫綱 > 有隣目 > トカゲ亜目 > アガマ科 > キノボリトカゲ属 > スウィンホーキノボリトカゲ

概要

[大きさ]

  • 成体オスで頭胴長が53–87 mm、成体メスで頭胴長が50–79 mm。オスの方が大きくなる。[2,3]
  • 尾の長さは頭胴長の230-300 %。[1,3]

[説明]

  • 2006年以降、静岡県磐田市・岐阜県羽島市・宮崎県日向市・神奈川県厚木市でも捕獲されている[2]
  • 環境省により特定外来生物に指定されている
  • 主に樹上棲で、昆虫やクモ、特にアリをよく捕食する[1,3]
  • 尾は長く、自切しない

[保全状況]

分布

[分布]

  • 台湾やその周辺島嶼である蘭嶼、緑島、小琉球などに原産する [1]
  • 日本では静岡県磐田市・宮崎県日向市・神奈川県厚木市で移入個体による繁殖が確認されており、定着している[2, 4, 8]。岐阜県羽島市でも捕獲されている [7]

[生息環境]

  • 1500 m級の山地から海岸域、自然林から都市公園まで、幅広い環境に生息する [1, 5]
分類

[分類]

  • 爬虫綱 > 有隣目 > トカゲ亜目 > アガマ科 > キノボリトカゲ属 > スウィンホーキノボリトカゲ

[タイプ産地] 

  • Tamsui, Formosa (現在の台湾北部、淡水区) [9]

[分類学上の変遷]

  • スウィンホーキノボリトカゲを含む日本や台湾のキノボリトカゲは、長らくJapalura属として扱われてきたが、Wang et al. (2018)によるJapalura属全体を扱った系統解析によって、Japalura属が遺伝的に異なる4グループに分かれることが明らかにされた。Japalura属の模式種はヒマラヤに生息する別グループの種であったため、東アジアを分布の中心とするキノボリトカゲの種群に、Hallowell (1861)の命名したDiplodermaという属が適用されることになった[10]。
体の特徴

[形態]

  • 背面には変異が多く、灰褐色から暗褐色、緑色までさまざま。[1]
  • 体側に白色から黄白色の帯が入り、オスでは黄〜レモン色でよく目立つ。[1]
  • 口腔内は黒い。[1]
  • うなじには鋸歯状の大型の鱗が並び、特にオスではよく発達する[1]

[よく似た種類]

各地で園芸植物等に紛れて移入した個体が見つかることがあるため、分布域でない場所でも確認される可能性がある。移入個体群の場合由来がわからないため、厳密には台湾や中国のキノボリトカゲ属との比較も行う必要があるが、ここでは国内の種との比較を紹介するのにとどめておく。

日本ではキノボリトカゲ属のトカゲが外来種含め4種(亜種含む)記録されている(スウィンホーキノボリトカゲ、オキナワキノボリトカゲ、サキシマキノボリトカゲ、ヨナグニキノボリトカゲ)。スウィンホーキノボリトカゲは以下の点で日本の他の種と異なる。

  • スウィンホーキノボリトカゲは口腔内が黒い。それ以外の3種は口腔内が黒くならない [1]。
  • 四肢は相対的に長く、後肢を胴に沿って前方に伸ばすと第4趾が吻端近くまで達する [1]。
生態

[食性]

  • 主に昆虫やクモなどを捕食する [1,3]

[繁殖]

  • 宮崎県日向市の移入個体群の場合、メスは頭胴長50mm程度で性成熟する[2]
  • 台湾の個体群における性成熟サイズは日向市の個体群より大きいと思われる[2,11,12]
  • 産卵期は3–10月で、シーズン中に2–3回産卵する[2,12]
  • 一度の産卵あたり2–8個の卵を産み、大きいメスほど産卵数も多い[2,12]
  • 地表を浅く掘って産卵する[1]

[行動]

  • なわばりを持ち、オスは一定の範囲内に侵入した他個体のオスを排除する[1]
その他

[侵入対策]

  • 台湾では標高1500m程度まで分布し、比較的耐寒性が高いと推測される[1,14]。
  • 静岡県磐田市では駆除によって一時姿を消した後、2017年に再び確認されるといったことも起きている[13]。

[コメント]

現在は特定外来生物に指定され、飼育等が禁止されていますが、いまだに国内複数地点で定着が確認されています。飼育しない、生きたまま移動させない、といった対策を徹底するとともに、継続的な捕獲による防除も重要だと考えられます。

執筆者:福山亮部


引用・参考文献

  1. 日本爬虫両棲類学会 編. 2021. 新日本両生爬虫類図鑑. サンライズ出版. 彦根.
  2. Imatake, S., Imaizumi, N., Ohashi, Y., Matsumura, H., Urakawa, M., Konaka, Y., … & Yasuda, M. (2020). Reproductive cycle and maturation of Swinhoe’s tree lizard (Diploderma swinhonis (Günther, 1864)) in Hyuga City, Miyazaki Prefecture, Japan. Journal of Veterinary Medical Science82(10), 1551-1557.
  3. Kuo, C. Y., Lin, Y. T., & Lin, Y. S. (2009). Sexual size and shape dimorphism in an agamid lizard, Japalura swinhonis (Squamata: Lacertilia: Agamidae). Zoological Studies48(3), 351-361.
  4. 槐真史, 岩下歩叶, 川崎守, 鉄谷龍之, 加藤英明. 2019. 神奈川厚木市におけるスウィンホーキノボリトカゲJapolura swinhonisの生息状況. 神奈川自然誌資料, (40), 85-87.
  5. Zhang, Y. D., Chou, C. C., Liao, C. P., Lin, J. W., Clark, R. W., Hsu, J. Y., & Huang, W. S. (2024). Homing behavior of a tree lizard: influences of mating resource and habitat structure. Behavioral Ecology35(6), arae081.
  6. Norval, G., Mao, J. J., & Slater, K. (2011). Notes on the reproduction of the Swinhoe’s tree lizard, Japalura swinhonis Günther, 1864,(Squamata: Agamidae) from southwestern Taiwan. Herpetol Notes4, 319-324.
  7. 向井貴彦・田上正隆 , 2017. 岐阜県羽島市で捕獲されたスウィンホーキノボリトカゲ. 日本生物地理学会会報 , 71: 249–251
  8. 加藤英明, 大庭俊輔, 大庭俊司, 衛藤英男, & 多比良嘉晃. (2013). 静岡県磐田市におけるスインホーキノボリトカゲ Japalura swinhonis Günther (Squamata, Agamidae) の繁殖と食性. 東海自然誌6, 35-38.
  9. Stejneger, LEONHARD H. 1907. Herpetology of Japan and adjacent territory. Bull. US Natl. Mus. 58: xx, 1-577
  10. Wang, K., Che, J., Lin, S., Deepak, V., Aniruddha, D. R., Jiang, K., … & Siler, C. D. (2019). Multilocus phylogeny and revised classification for mountain dragons of the genus Japalura sl.(Reptilia: Agamidae: Draconinae) from Asia. Zoological Journal of the Linnean Society185(1), 246-267.
  11. Huang, W. S. (2007). Ecology and reproductive patterns of the agamid lizard Japalura swinhonis on an east Asian island, with comments on the small clutch sizes of island lizards. Zoological Science24(2), 181-188.
  12. Lin JY, Cheng HY (1986) Annual reproductive and lipid storage patterns of the agamid lizard, Japalura mitsukurii mitsukurii in southern Taiwan. Bull Inst Zool Acad Sin 25: 13–23
  13. 静岡県くらし・環境部環境局自然保護課. (2019). まもりたい静岡県の野生生物2019 静岡県レッドデータブック<動物編>. pp.539
  14. 一般財団法人自然環境研究センター. (2019). 最新日本の外来生物. 平凡社. pp.591

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