サドガエル

Glandirana susurra (Sekiya, Miura, et Ogata, 2012)

両生綱 > 無尾目 > アカガエル科 > ツチガエル属

概要

[大きさ] 

  • 全長 3–5 cm

[説明]

  • 佐渡島固有種。佐渡島には本種に加えてツチガエルも分布するが、両種は島内で分布域が異なり、同所的に見られることはほとんどない。下腹部が黄色いことが特徴。

[保全状況]

  • 環境省レッドリスト2020 絶滅危惧ⅠB類(EN)
分布

[分布]

  • 佐渡島

[生息環境]

  • 平地の水田や、その周囲の丘陵地に見られる。水田では特に、深いコンクリート水路ではなく、江のある水田に多い。[2,6]
分類

[分類]

  • 両生綱 > 無尾目 > アカガエル科 > ツチガエル属 > サドガエル

[タイプ産地] 

  • 佐渡島

[説明]

  • ツチガエルに似るが、本種とツチガエルを交配させても子が不稔となるうえ、形態や鳴き声にも明瞭な違いが見られるため、2012年に新種として記載された。[3,5]
  • 系統的にはツチガエルの関東~近畿集団と近縁。同じ島に分布するものの、佐渡にいるツチガエルはむしろ遠縁である。[4,5]
  • 学名のsusurraは「ささやく」の意味で、本種の鳴き声が佐渡の他のカエルと比べて小さく、ささやいているように聞こえるため。[5]
体の特徴

[形態]

  • 背面は褐色。腹面は顎のあたりは白色で、下腹部と四肢は黄色い。
  • 背面に多数のいぼ(隆条)を持つ。腹面はふつう顆粒が無く、滑らかである。
  • 前肢には水かきを持たないが、後肢の水かきはよく発達する。雄も鳴嚢孔を持たない。

[似た種との違い]

  • 背中に多数のいぼを持ち、褐色の体色をしていることがツチガエルとよく似る。以下の点で識別できる。
サドガエルツチガエル
背面のいぼ発達はやや弱いよく発達する
下腹部の色黄色くすんだ白色か灰色
サドガエルの腹面
  • なお、佐渡島には本種に加えてツチガエルも分布しているが、両種は島内で分布域を分けており、同所的に見られることはほぼない。サドガエルが国中平野と佐渡島中西部の海岸付近で見られるのに対し、ツチガエルは島北部と南部に分布する。[1,3]
生態

比較的最近に新種記載されたため、本種の生態についての知見は限られている。

[繁殖]

  • 繁殖期は5月中旬から8月 [1]

[卵]

  • 蔵卵数は700個ほど。卵は水中の植物体などに産み付けられる。[5]

[幼生]

  • ツチガエルと同様、多くの幼生は変態せずに水中で越冬するようだ。大型で、全長7㎝ほどになる。[1,5]
その他

[保全]

  • 佐渡島にしか分布しないことから保全への関心が高い。幼生期間が長く、成体も水場に依存する本種は、中干しやコンクリート水路によって個体数を減らすことが指摘されている。水田周辺にビオトープや素掘りの水路を設置することでその影響を緩和できる可能性がある。[1,2,6]

執筆者:木村楓

更新履歴

  • 執筆・公開(2021年3月)
  • 写真の追加を行いました。(2022年7月)

引用・参考文献

  1. Kobayashi, R. 2014. Column: Sado Wrinkled Frog: An Alternative Symbol for Wildlife-Friendly Farming on Sado Island? Pages 115–121 in N. Usio and T. Miyashita, editors. Social-Ecological Restoration in Paddy-Dominated Landscapes. Springer Japan, Tokyo.
  2. Miyu, T. R., M. J. Evans, M. Soga, R. Kobayashi, K. Sekiya, T. Miyashita, and K. T. Yoshida. 2020. Modern Farming Practices in Paddy Fields Negatively Affect an Endemic Frog, Glandirana susurra, in Japan. Wetlands 40:1607–1615.
  3. Ohtani, H., K. Sekiya, M. Ogata, and I. Miura. 2012. The postzygotic isolation of a unique morphotype of frog Rana rugosa ( Ranidae ) found on Sado Island , Japan. Journal of Herpetology 46:325–330.
  4. Oike, A., M. Mochizuki, K. Tojo, T. Matsuo, Y. Nakamura, S. Yasumasu, E. Ito, T. Arai, and M. Nakamura. 2020. A Phylogenetically Distinct Group of Glandirana rugosa Found in Kyushu, Japan. Zoological science 37:193–202.
  5. Sekiya, K., I. Miura, and M. Ogata. 2012. A new frog species of the genus Rugosa from Sado Island, Japan (Anura, Ranidae). Zootaxa 3575:49–62.
  6. 宇留間悠香, 小林頼太, 西島翔太, 宮下直. 2012. 空間構造を考慮した環境保全型農業の影響評価: 佐渡島における両生類の事例. 保全生態学研究 17:155–164.

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