セトウチサンショウウオ

Hynobius setouchi Matsui, Okawa, Tanabe et Misawa, 2019

両生綱 > 有尾目 > サンショウウオ科 > サンショウウオ属 > セトウチサンショウウオ

  • オスの成体(岡山県)
概要

[英名]

Setouchi Salamander [1]

[大きさ]

全長 9 – 11 cm [5]頭胴長 4.5 – 6 cm [1]

[説明]

  • カスミサンショウウオ岡山型または瀬戸内型として知られていたが、近年新種として記載された
  • 近畿地方西部から中国地方東部、四国東部にかけて分布する
  • 12月から4月に水田の溝、湿地などにコイル状の卵嚢を産む

[保全状況]

  • 環境省レッドリスト2020:絶滅危惧II類
  • 大阪府レッドリスト2014:絶滅危惧I類(カスミサンショウウオとして)
  • 和歌山県レッドデータブック(2012年改訂版):絶滅危惧II類(カスミサンショウウオとして)
  • 兵庫県版レッドリスト2017:Bランク(絶滅危惧II類相当)
  • 岡山県版レッドデータブック2020:絶滅危惧I類
  • 香川県レッドデータブック2021年版:絶滅危惧Ⅱ類
  • 徳島県版レッドリスト(平成25年改訂版):絶滅危惧Ⅱ類(カスミサンショウウオとして)
  • レッドデータブックひろしま2011:絶滅危惧Ⅱ類(カスミサンショウウオとして)
  • 岡山県高梁市天然記念物(カスミサンショウウオ生息地として)
分布

[分布]

  • 近畿地方西部から中国地方東部、四国東部(大阪府、和歌山県、兵庫県、岡山県、香川県、徳島県、広島県)

[生息環境]

  • 標高20〜460 m(平均240 m)の水田や湿地の周辺などに生息する[1][5]
分類

[分類]

  • 両生綱 > 有尾目 > サンショウウオ科 > サンショウウオ属 > セトウチサンショウウオ

[タイプ産地] 

  • 岡山県岡山市[1]

[学名の意味]

種小名のsetouchiは本種が瀬戸内地方に分布することに由来[1]

[説明]

  • 本種はかつてカスミサンショウウオ岡山型または瀬戸内型とされていた[2][3][4]。
  • 2019年に遺伝的、形態的な違いからカスミサンショウウオから分けられ、新種として記載された[1]。
  • 系統的にはヤマトサンショウウオH. vandenburghiやトウキョウサンショウウオH. tokyoensisに近い[1]。
体の特徴

[形態][1]

  • 背面は薄い褐色で多くの場合斑紋がない。腹面は背面よりも明るく、銀白色の小点を持つ。多くの個体が尾の上下面に黄色の条線を持たない。繁殖期のオスの喉の下面は白くなる。
  • 体は比較的小さく、前後肢は比較的長い。尾は頭胴長の80%程度の長さ。肋条数は13。
  • ほとんどの個体で後肢の第五趾を持つ。

[似た種との違い][1]

カスミサンショウウオ種群(カスミ、サンイン、ヤマト、ヒバ、アキ、イワミ、アブ、ヤマグチ)の他種とは、比較的小型であること、肋条数が13であること、助骨歯列の長さが長いこと、後肢の第五趾を持つこと、基本的に尾の上下面に黄色の条線を持たないことなどで識別できる。また、基本的にこれらの種とは分布域が重ならない。

生態

[繁殖]

  • 繁殖期は12月下旬~4月上旬で、水田の溝、湿地などに産卵する[1][6]

[卵][1]

  • 卵嚢はコイル状で皺が入る。
  • 卵数は42–155。
  • 落ち葉や植物の根などに産み付けられる。

執筆者:福山伊吹


引用・参考文献

  1. Matsui, M., Okawa, H., Nishikawa, K., Aoki, G., Eto, K., Yoshikawa, N., Tanabe, S., Misawa, Y., & Tominaga, A. (2019). Systematics of the widely distributed Japanese clouded salamander, Hynobius nebulosus (Amphibia: Caudata: Hynobiidae), and its closest relatives. Current herpetology, 38(1), 32-90.
  2. 大川博志, & 宇都宮妙子. (1997). カスミサンショウウオ後肢趾の骨. 日本爬虫両棲類学雑誌14(4), 214.
  3. 大川博志, 奥野隆史, & 宇都宮妙子. (2005). 阿武・津和野地方および山口市に分布するカスミサンショウウオの一集団. 両生類誌, 14, 11-14.
  4. 大川博志, 奥野隆史, & 宇都宮妙子. (2007). 西日本におけるカスミサンショウウオの3つの大きなグループ. 爬虫両棲類学会報, 2007, 58–59.
  5. 関慎太郎, & 井上大輔編. (2019). 特盛山椒魚本. NPO法人北九州・魚部(ぎょぶる編集室).
  6. 山田勝, & 江田伸司. (2020). セトウチサンショウウオ. p. 119. 岡山県野生動植物調査検討会(編)岡山県版レッドデータブック2020 動物編.