ツシマスベトカゲ

Scincella vandenburghi (Schmidt, 1927)

爬虫綱 > 有隣目 > トカゲ科 > スベトカゲ属 > ツシマスベトカゲ

概要

[大きさ] 

  • 頭胴長 4.0~5.0 cm、尾長は頭胴長の100%程度[3]

[説明]

  • 非常に短い手足を持つトカゲ類
  • 国内では対馬にのみ分布する
  • 卵生
分布

[分布]

  • 国内では対馬のみに分布する[3]
  • 国外では朝鮮半島南部および済州島に分布する[3]

[生息環境]

  • 低地から山地の林床で主に生息する。倒木下などで観察される[3, 5]
分類

[分類]

  • 爬虫綱 > 有鱗目 > トカゲ科 > スベトカゲ属 > ツシマスベトカゲ

[タイプ産地]

  • Tsushima Island, Japan[4]

[説明]

  • 本属は35種ほどを含み、北米、中米、東アジア、ヒマラヤ、インドシナにかけて分布する[3]
  • 国内ではツシマスベトカゲの他、宮古・八重山諸島に分布するサキシマスベトカゲ、与那国島に分布するヨナグニスベトカゲ、および尖閣諸島に分類学的帰属が不明な種が分布する[2, 3]
  • 本種はサキシマスベトカゲやヨナグニスベトカゲではなく、中国に分布するS. modestaと遺伝的に近縁である[1, 2]
体の特徴

[形態][3, 5]

  • 成体は灰褐色である。体側には暗褐色の縦条が見られるが、上縁では鮮明に色が分かれるのに比べ、下縁は不鮮明となる
  • 体鱗は胴の中央部で28~30列
  • 頭部は小さくて細く、吻は短い。四肢は細く、短い

[似た種との違い]

  • 対馬に分布するトカゲ類はツシマスベトカゲとアムールカナヘビのみである。手足が短く、体表に光沢があるツシマスベトカゲに比べて、アムールカナヘビは手足が長く、体表が非光沢であるなど形態に大きな差があり、識別は安易である。
  • 北・中琉球列島に分布するヘリグロヒメトカゲ属と形態が似るものの、スベトカゲ属の側頭板・頚板・前肛板が明瞭に大形になるのに対し、ヘリグロヒメトカゲ属は大形にならず、胴部と同じ小型の鱗となる[3]
  • 宮古・八重山諸島に分布するサキシマスベトカゲおよび与那国島に分布するヨナグニスベトカゲとは体側の暗色帯の様相が異なり、サキシマスベトカゲやヨナグニスベトカゲが非常に明瞭であるのに比べて、ツシマスベトカゲは下縁が不明瞭となる。また、ツシマスベトカゲのほうがより体が細長く、尾も細い[2]
生態

[食性]

  • 昆虫やクモ類を捕食する[5]

[繁殖]

  • 初夏に産卵する[3]
  • 一腹卵数は1~9個[3, 5]
その他

[その他]

  • 本種を含むスベトカゲ類は基礎的な生態がよくわかっておらず、より詳細な研究が望まれる

執筆者:高田賢人


引用・参考文献

  1. Koizumi, Y., Ota, H. & Hikida, T. (2014). Phylogeography of the two smooth skinks, Scincella boettgeri and S. formosensis(Squamata: Scincidae) in the southern Ryukyus and Taiwan, as inferred from variation in mitochondrial cytochrome bsequences. Zoological Science, 31 (4), 228–236.
  2. Koizumi, Y., Ota, H. & Hikida, T. (2022). A new species of the genus Scincella (Squamata: Scincidae) from Yonagunijima Island, Southern Ryukyus, Japan. Zootaxa5128(1), 61-83.
  3. 岡本卓・栗田和紀. (2021). スベトカゲ属. 新 日本両生爬虫類図鑑. サンライズ出版, 滋賀:141–142.
  4. Schmidt, K.P. (1927). Notes on Chinese reptiles. Bulletin of the American Museum of Natural History, 54 (4): 467–551.
  5. 内山りゅう・前田憲男・沼田研児・関慎太郎.(2002). 決定版日本の両生爬虫類. 平凡社, 東京. p336.