アマミヒメトカゲ

Ateuchosaurus pellopleurus(Hallowell, 1861)

爬虫綱 > 有隣目 > トカゲ科 > ヒメトカゲ属 > アマミヒメトカゲ

  • 成体 (奄美大島)
概要

[大きさ] 

  • 頭胴長 4.9–5.7 cm、尾長5.6–6.7 cm[3]

[説明]

  • 非常に短い手足を持つトカゲ類
  • 奄美諸島、トカラ列島、大隅諸島に分布する日本固有種
  • 地表で生活し、落ち葉や草木の根の間を俊敏に移動する
  • 2023年にヘリグロヒメトカゲ沖縄諸島集団がオキナワヒメトカゲとして別種となり、奄美諸島以北に分布するヘリグロヒメトカゲがアマミヒメトカゲと和名変更された

[保全状況]

  • 環境省レッドリスト2012:絶滅の恐れのある地域個体群(三島のヘリグロヒメトカゲ)
  • 鹿児島県レッドデータブック:絶滅の恐れのある地域個体群(三島のヘリグロヒメトカゲ)
分布

[分布]

  • 大隅諸島(竹島、硫黄島、黒島)、トカラ列島・奄美諸島のほぼ全域[3, 4, 7]
  • 与論島では少なくとも19世紀まではヒメトカゲ属の一種が分布していたと考えられているが、オキナワヒメトカゲとアマミヒメトカゲのどちらが分布していたかは不明である[3, 6]

[生息環境]

  • 低地から山地の草原、ガレ地、海岸林から自然林まで、多様な環境に生息する[7]
分類

[分類]

  • 爬虫綱 > 有鱗目 > トカゲ科 > ヒメトカゲ属 > アマミヒメトカゲ

[タイプ産地]

  • Ousima, Japan (奄美大島、日本)[1]

[説明]

  • レクトタイプが国立自然史博物館(スミソニアン博物館, アメリカ)に保管されている[3]
  • 本属は3種を含み、オキナワヒメトカゲAteuchosaurus okinavensisとアマミヒメトカゲA. pellopleurusが琉球列島に、A. chinensis は中国南東部からベトナムにかけて分布する[1, 3, 7]
  • もともとヘリグロヒメトカゲA. pellopleurusとされていたが、遺伝的・形態的な違いから沖縄諸島の個体群をオキナワヒメトカゲA. okinavensisとして別種(シノニムの復活)とされ、奄美諸島以北の個体群をヘリグロヒメトカゲからアマミヒメトカゲに和名変更された。これに伴い、属名もヘリグロヒメトカゲ属からヒメトカゲ属に和名変更された[3]
  • 遺伝的に①大隅諸島・トカラ列島、②奄美諸島、③徳之島・沖永良部島の3グループに分かれる[4]
  • トカラ列島北部と大隅諸島の個体群は、近年になって分布を拡大したと考えられている[4]
体の特徴

[形態][3, 7, 8]

  • 成体は赤褐色で、黒褐色の斑点が見られる。体側には褐色の縦条が見られる
  • 背面に2~3対のストライプを持つことが多い
  • 奄美大島以外の地域での体鱗は胴の中央部で24–30列(最頻値は26列)。なお、奄美大島では特にオスにおいて24列の個体が非常に多い
  • 頭部は小さくて細く、吻は短い。四肢は細く、短い
  • オキナワヒメトカゲは中央付近にくびれのある非常に大きな額板を持つことが多いのに対して、アマミヒメトカゲはくびれと同位置付近で2枚の鱗板に分かれることが多い

[似た種との違い]

  • 分布域各地でオオシマトカゲやバーバートカゲなどトカゲ属の各種と分布が重なるが、トカゲ属と比較してアマミヒメトカゲは手足がかなり短く胴部が長いなど形態差が大きく、識別は容易である。
  • 宮古・八重山諸島や対馬に分布するスベトカゲ属と形態が似るものの、スベトカゲ属の側頭板・頚板・前肛板が明瞭に大形になるのに対し、ヒメトカゲ属は大形にならず、胴部と同じ小型の鱗となる[7]
  • アマミヒメトカゲは①背面に2対または3対のストライプがあり、②中央付近の額板が分離している、ことが多いのに対して、オキナワヒメトカゲが①背面にストライプを持たないか、1対のストライプがある、②中央付近にくびれのある非常に大きな額板を持つ、ことが多い[3]
生態

[活動時間][3]

  • 春から秋の昼間に見られることが多いが、竹島、硫黄島、小宝島、奄美大島、徳之島、沖永良部島では夕方~夜間に行動している個体も観察されている。また、暖かい場所を好み、曇りや雨の日よりも晴れの日に多く見られる。

[食性]

  • 胃内容物でアリ類が確認されている [ヘリグロヒメトカゲとして: 7]

[捕食]

  • ハブやハイなど、様々なヘビ類に捕食されている[オキナワヒメトカゲを含む][2, 5]
  • 大隅諸島の硫黄島では、人為的に持ち込まれたインドクジャクによる捕食の影響で激減している[7]

[繁殖]

  • 5–8月に交尾し、産卵するとされる[3, 7]
  • 多くの雌は年2回以上産卵し、一腹卵数は2–7個 [ヘリグロヒメトカゲとして: 7]
その他

[その他]

  • 基礎生態があまりよくわかっていない種です。大隅諸島では個体数がかなり減少しているとされ、さらなる研究が期待されます。

執筆者:高田賢人


引用・参考文献

  1. Hallowell, E. (1861). Report upon the Reptilia of the North Pacific Exploring Expedition, under command of Capt. John Rogers, U. S. N. Proc. Acad. Nat. Sci. Philadelphia 12 [1860]: 480 – 510
  2. 浜中京介, 森哲, & 森口一. (2014). 日本産ヘビ類の食性に関する文献調査 (特集 日本の両生類・爬虫類の食性). 爬虫両棲類学会報2014(2), 167-181.
  3. Makino, T., Nakano, T., Okamoto, T., & Hikida, T. (2023). Taxonomic revision and re-description of Ateuchosaurus pellopleurus (Hallowell, 1861) (Reptilia, Squamata, Scincidae) with resurrection of A. okinavensis (Thompson, 1912). Zoosystematics and Evolution, 99(1), 77-91.(1), 29-37.
  4. Makino, T., Okamoto, T., Kurita, K., Nakano, T., & Hikida, T. (2020). Origin and intraspecific diversification of the scincid lizard Ateuchosaurus pellopleurus with implications for historical island biogeography of the Central Ryukyus of Japan. Zoologischer Anzeiger288, 1-10.
  5. Mori, A. (1988). Food habits of the snakes in Japan: a critical review. Snake20, 98-113.
  6. Nakamura, Y., Takahashi, A., & Ota, H. (2013). Recent cryptic extinction of squamate reptiles on Yoronjima Island of the Ryukyu Archipelago, Japan, inferred from garbage dump remains. Acta Herpetologica8(1), 19-34.
  7. 岡本卓, & 栗田和紀. (2021). ヘリグロヒメトカゲ属. 新 日本両生爬虫類図鑑. サンライズ出版, 滋賀:142–143.
  8. Ota, H., Miyaguni, H., & Hikida, T. (1999). Geographic variation in the endemic skink, Ateuchosaurus pellopleurus from the Ryukyu Archipelago, Japan. Journal of herpetology, 106-118.