Andrias japonicus × Andrias davidianus (Temminck, 1836 / Blamchard, 1871)
両生綱>有尾目>オオサンショウウオ科>オオサンショウウオ属
京都市
概要
[大きさ]
[説明]
世界最大級の両生類。 基本的に形態・生態ともにオオサンショウウオ・チュウゴクオオサンショウウオに似る。 帰化したチュウゴクオオサンショウウオと在来種の交雑由来 。進行は深刻。 交雑個体同士でも繁殖が起こっており、鴨川水系では9割以上が交雑個体。[5]
[保全状況]
分布
[分布]
[生息環境]
上流部から中流域まで点在。渓流からコンクリート張りまで様々な環境で見つかり、市街地付近にも見られる[2]。
分類
[分類]
両生綱>有尾目>オオサンショウウオ科>オオサンショウウオ属
[説明]
近年の遺伝子解析の結果、日本のオオサンショウウオAndrias japonicusと、日本に帰化した中国産の近縁種チュウゴクオオサンショウウオAndrias davidianusの交雑個体が多数野生化していることがわかった[5,7]。
体の特徴
[形態]
以下、在来種・外来種との違いのみ記載(その他の形態情報はオオサンショウウオを参照)。 多くの場合薄い褐色の地に、それより薄くて大きい斑紋と黒点が散在するが、在来種や外来種と見分けのつきにくい個体も多い[2]。 外来種と同様に、目がややとび出し、頭はより扁平で吻端はくちばし状になることが多い[2]。
[繁殖]
繁殖行動はオオサンショウウオと同様と考えられるが、多くは不明。京都府の鴨川では繁殖が確認されており、在来種との交雑が進行している[2,5]。 コンクリートの割れ目なども巣穴として利用し、繁殖している可能性がある。
[幼生]
孵化直後は外鰓をもち、四肢はない。数か月で四肢が生えるが、外鰓は数年残る。 体色は在来種に近いものが多いが、色の薄い個体もよく見つかる。 在来種より大胆な個体が多いのか、水面から発見できる幼生もかなりいる。
その他
[問題]
交雑は、40~50年前に食用で移入されたチュウゴクオオサンショウウオの帰化が原因と言われており[4]、行政や大学により調査・対策が進められている。在来種、外来種、交雑個体の中で、交雑個体が最も繁殖能力や活動性などが高いと見られている[2]。なお、外部形態での同定が困難であることや、オオサンショウウオ属全種が種の保存法に指定されていることから、中国種や交雑個体であっても無許可での取り扱いは一切禁止されている[2,3]。
[コメント]
交雑種や外来種という性格上、厄介者・悪者扱いされてしまいがちであり、交雑個体の多くは色彩や形態も中途半端で美しくはないものが多い。さらにおそらく活動性や攻撃性も高く、成長率も良さそうなので、扱いづらいことも間違いないだろう。しかし、筆者は交雑オオサンショウウオにもこれはこれで愛着がある。彼らとて好き好んでこの立場にいるわけではなく、普通に生きているだけである。彼らにしかない魅力というのもある。だからこそ余計に、交雑問題の解決は非常に難しいと思っている。一般の方は鴨川でオオサンショウウオを見かけても、変に騒がずそっとしておいてやってほしい(明らかにおかしい場所にいるときは警察や研究室へ通報を)。また、より詳しいコメントは拙著「交雑オオサンショウウオの調査」[2]を読んでいただけるとありがたい。
執筆者:浜中京介
引用・参考文献
American Museum of Natural History. Amphibian Species of the World 6.0, an Online Reference. Andrias davidianus . http://research.amnh.org/vz/herpetology/amphibia/amphib/basic_search?basic_query=Andrias+davidianus&stree=&stree_id= 参照 2019-04-30. 浜中京介. 2018. 交雑オオサンショウウオの調査. Caudata. 2: 9-13. 環境省. 種の保存法の概要. https://www.env.go.jp/nature/kisho/hozen/hozonho.html 参照 2019-02-09. 国立環境研究所. 侵入生物データベース. チュウゴクオオサンショウウオ. https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/40250.html 参照 2019-04-30. 京都市情報館. 記念物 (史跡・名勝・天然記念物). http://www.city.kyoto.lg.jp/menu2/category/24-4-3-0-0-0-0-0-0-0.html 参照2019-02-08. 松井正文. 2001. オオサンショウウオの属名について. 爬虫両棲類学会報, 2001(2): 75-78.