リュウキュウカジカガエル

Buergeria japonica (Hallowell, 1861)

両生綱 > 無尾目 > アオガエル科 > カジカガエル属 > リュウキュウカジカガエル

  • オス成体(奄美大島)
概要

[大きさ] 

  • 体長 2.5 – 3.7 cm

[説明]

  • トカラ列島から沖縄島にかけて分布する小型のカエル。
  • カジカガエルと異なり、海岸沿いから山地まであらゆる環境で繁殖する。
  • 2020年に八重山諸島以南の個体群は種が分けられた。
分布

[分布]

  • トカラ列島~沖縄島にかけての島々。分布していない島もある。
  • トカラギャップは海上分散で乗り越えた可能性が高い[7]。

[生息環境]

  • 海岸近くの低地から山地までの水場周辺や林内に生息する。
分類

[分類]

  • 両生綱 > 無尾目 > アオガエル科 > カジカガエル属 > リュウキュウカジカガエル

[タイプ産地] 

  • 奄美大島

[説明]

  • 種小名のjaponicaは”日本産の”の意味。
  • タイプ標本はスミソニアン国立自然史博物館に保管されている。
体の特徴

[形態]

  • 手足は長く、体は小さく細い
  • 体色は茶褐色~黄褐色で体色変化が大きい。
  • 両目の間に黒い逆三角形状の模様が入る。また、背面にX状の模様が入る。
  • 吸盤が発達し、後ろ足には水掻きが見られる。

[似た種との違い]

  • ヌマガエルと体色は似ているものの、リュウキュウカジカより体が丸っこく手足も短い。また、吸盤は発達しない。八重山諸島以南に分布するヤエヤマカジカガエルに酷似しているが、同所的に見られるところはない[5]。形態等の識別点はヤエヤマカジカガエルを参照。
生態

[食性]

  • 成体はクモ、昆虫、ヤスデ、ワラジムシなどを捕食する[4]。

[捕食]

  • ヒメハブ、ガラスヒバァなどカエル類を捕食するヘビ類の重要な餌資源となっている[1, 6]。
  • クモ類やサワガニ類など無脊椎動物にも捕食される[4]。

[繁殖]

  • 繁殖期は3~10月[3]。
  • 渓流、水田、側溝、湧き水たまり、湖沼などあらゆる浅く流れのゆるい水場に産卵する[4]。
  • トカラ列島の一部個体群は水温45℃近い高水温中で繁殖する[3]。
  • 塩分の混じる水場で産卵することもあるが、塩分耐性があるわけではない[2]。

[卵]

  • 1.2~1.4mm。1~数個ずつバラバラに産む[4]。

[幼生]

  • 全長30mm以上に成長する。尾は長く、丈は低い[4]。
その他

[その他]

小型なため、から揚げにすると骨まで美味しく食べることができる。

執筆者:高田賢人


引用・参考文献

  1. 浜中京介・森哲・森口一.2014.日本産ヘビ類の食性に関する文献調査.爬虫両棲類学会報 2014: 167–181.
  2. Haramura, T. 2007. Salinity Tolerance of Eggs of Buergeria japonica (Amphibia, Anura) Inhabiting Coastal Areas. Zoological Science, 24(8): 820-823.
  3. Komaki S., Lau Q. & Igawa T. 2016. Living in a Japanese onsen: field observations and physiological measurements of hot spring amphibian tadpoles, Buergeria japonica. Amphibia-Reptilia. 37: 311-314.
  4. 松井正文・前田憲男. 2018. 日本産カエル大鑑. 株式会社文一総合出版, 東京. 272pp.
  5. Matsui, M. & Tominaga, A. 2020. A new species of Buergeria from the Southern Ryukyus and Northwestern Taiwan (Amphibia: Rhacophoridae). Current Herpetology 39 (2): 160-172.
  6. Mori A. and H. Moriguchi. 1988. Food habits of the snakes in Japan: A critical review. The Snake 20: 98–113.
  7. Tominaga, A., Matsui, M., Eto, K. & Ota, H. 2015. Phylogeny and Differentiation of Wide-Ranging Ryukyu Kajika Frog Buergeria japonica (Amphibia: Rhacophoridae): Geographic Genetic Pattern Not Simply Explained by Vicariance Through Strait Formation. Zoological Science, 32(3): 240-247.