Limnonectes namiyei (Stejneger, 1901)
両生綱 > 無尾目 > ヌマガエル科 > クールガエル属 > ナミエガエル
概要
[大きさ]
[説明]
- 主に渓流で生活する大型のカエル
- 沖縄島北部(やんばる)にのみ分布する
- 半水棲で水中の甲殻類などを捕食する
- オスは頭が巨大化する
[保全状況]
- 沖縄県指定の天然記念物
- 国内希少野生動植物種
- 第3版沖縄県レッドデータブック – 絶滅危惧ⅠB 類
- 環境省レッドリスト – 絶滅危惧ⅠB類
分布
[分布]
- 沖縄県国頭村、大宜味村、東村。名護市でも記録はあるが、近年の調査では確認されていない[4]。
[生息環境]
- 渓流の源流部付近に生息する。
- 半水棲で一生を水中および渓流周辺で過ごす
分類
[分類]
- 両生綱 > 無尾目 > ヌマガエル科 > クールガエル属 > ナミエガエル
[タイプ産地]
[説明]
- 種小名のnamiyeiは帝国大学理科大学博物館(現、東京大学総合博物館)の波江元吉氏に由来する[3]。
体の特徴
[形態]
- 体色は茶褐色~灰褐色で、体表には不規則な皺が見られる。
- 手足は太く、また体も太い。
- 瞳は菱形である。
- 水搔きが発達している。
- オス成体は頭部が巨大化する。
[似た種との違い]
- 同所的に見られる種で似ているものにホルストガエル、ハナサキガエルがあげられる。ホルストガエルは背面・体側面が同色のナミエガエルと異なり、背面と体側面で色模様が異なる。また、ホルストガエルの体形はよりスマートで、前足の指は5本である。ハナサキガエルはホルストガエルよりさらに手足が長く、体長も半分程度である。
生態
[食性]
- 成体はカニやエビなどの甲殻類、トビケラなどの昆虫類を主に捕食するが、リュウキュウアカガエルやクロイワトカゲモドキなどの爬虫両生類の捕食例もある[2]。
[繁殖]
- 繁殖期は4月~8月。産卵ピークは5・6月[4]。
- 流れの緩やかな浅瀬や湧き水溜まりに産卵する[1]。
[卵]
- 2.5mm程度。卵同士はゆるく繋がっているか、バラバラの状態で産み出される[1]。
[幼生]
- 全長40mm程度まで成長する。尾が長く、眼鼻線より下は白くなる
- 孵化後およそ3ヵ月で変態し、上陸する
その他
[文化]
- 琉球王国時代は食用とされ、王宮料理にも利用されていた[1]。
[コメント]
- 執筆者は東南アジアで本種と同属のLimnonectes kuhliiを食べたが、非常に美味であった。本種も美味であると思われる
執筆者:高田賢人
引用・参考文献
- 松井正文・前田憲男. 2018. 日本産カエル大鑑. 株式会社文一総合出版, 東京. 272pp.
- Okochi, I. & Katsuren S. 1989. Food Habits in Four Species of Okinawan Frogs. Current Herpetology in East Asia: 405-412.
- Stejneger, L. 1901. Diagnoses of eight new batrachians and reptiles from the Riu Kiu Archi-pelago, Japan. Proc. Biol. Soc. Wash. 14:189-191.
- 千木良芳範. 2017.ナミエガエル. “改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)第3版”, 沖縄県環境部自然保護課(編), 沖縄県環境自然保護課, 那覇, 221-222.