ヨナグニシュウダ

Elaphe carinata yonaguniensis Takara, 1962

爬虫綱>有鱗目>ヘビ亜目>ナミヘビ科>ナメラ属>シュウダ>ヨナグニシュウダ

  • 成体(与那国島)
概要

[別名] 

ンダトゥガラ、ンダトカラ [8]

[大きさ] 

  • 全長 160–220 cm [4]
  • 頭胴長 60–150 cm [1]

[説明]

  • 与那国島のみに分布する日本固有亜種。
  • 基亜種は中国、ベトナム、台湾、尖閣諸島に分布する.
  • ネズミ、小型鳥類、トカゲなどを捕食する。
  • 国内最大級のヘビの一つ

[保全状況]

  • 環境省レッドリスト2020:絶滅危惧IB類
  • レッドデータおきなわ 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 第3版 (2017) : 絶滅危惧II類
分布

[分布]

  • 八重山諸島の与那国島のみに分布する[1]。

[生息環境][2][4][7]

  • 低地から山地まで広く生息し、森林や耕作地など様々な環境に生息する。森林と耕作地の境界などに多い。
分類

[分類]

  • 爬虫綱>有鱗目>ヘビ亜目>ナミヘビ科>ナメラ属>シュウダ

[タイプ産地] 

  • 八重山諸島与那国島[7]

[説明]

  • ヨナグニシュウダElaphe carinata yonaguniensisは中国大陸などに分布するシュウダElaphe carinataの亜種として1962年に記載された[7]。
  • シュウダの台湾の個体群は本亜種と色彩が似ており、かつて本亜種に含められたこともあるが[5][6]、体鱗列数などの違いから現在では基亜種として扱われている[1]。
体の特徴

[形態][1][4][7]

  • 背面は淡褐色または黒褐色。胴の前部では体鱗の間の皮膚が部分的に白色になっており、不規則な白い網目状模様が入っているように見える。背面が淡褐色の個体は,外側から4、5列目(後方では3、4列目)の鱗列が褐色となり、両側面に各1本の褐色縦線を持つこともある。腹面は黄土色は黄緑色で、背面よりもやや明るく、不規則な黒緑色の小斑が入る。
  • 体鱗には強いキールが発達する。体鱗列数は普通、頸部で26–27列、胴中央部で25列、胴の後半部で19または21列。
  • 肛板は二分し、腹板は217-225枚、尾下板は95-105対。

[似た種との違い]

  • 与那国島では、サキシママダラ、ミヤラヒメヘビ、ブラーミニメクラヘビが同所的に生息するが、本種はこれらの種と比べて遥に大型で、また明瞭な横帯を持たないことから容易に見分けられる。
  • 基亜種のシュウダとは、本亜種の体鱗列数が胴中央部で25列なのに対し、基亜種では普通23列であることで見分けられる。
生態

[生態・行動]

  • 生態に関する知見はほとんどない。
  • 防御行動として、体を丸めて頭部をその中に巻き込んで保護するような行動が知られる[3]。また、興奮すると尾を激しく振り、臭腺から臭気を発する[3]。
  • 活動中の個体の目撃頻度が高いのは4–7月で、冬季には活動性が落ちるが、完全な冬眠状態にはならないとされる[4]。

[食性]

  • 野外食性として、キシノウエトカゲ(Plestiodon kishinouyei)、ヒヨドリが報告されており、ネズミ類および小鳥類を捕食することも知られる[3][4][7]。飼育下ではラット、ヒヨコ、シマヘビ(Elaphe quadrivirgata)、キノボリトカゲ(Diploderma polygonatus)、アオカナヘビ(Takydromus smaragdinus)を捕食することも知られている[4][7]。

執筆者:福山伊吹

2022年8月公開


引用・参考文献

  1. 日本爬虫両棲類学会 編. 2021. 新日本両生爬虫類図鑑. サンライズ出版. 彦根.
  2. 沖縄県環境部自然保護課 (編). 2017. 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 第 3 版(動物編)― レッドデータおきなわ —. 沖縄県環境部自然保護課, 沖縄.
  3. 太田英利,1981. ヨナグニシュウダの食性及び行動に関する報告. 日本両生爬虫類研究会誌,20: 5–6.
  4. 太田英利. (2014). ヨナグニシュウダ. p. 22–23. In: 環境省(ed.), レッドデータブック2014 —日本の絶滅のおそれのある野生生物— 3爬虫類・両生類. (株)ぎょうせい, 東京.
  5. Schulz, K.-D. 1992. Die hinterasiatischen Kletternattern der Gattung Elaphe, Teil 22 Elaphe carinata (Günther, 1864). Sauria 14 (4): 3-13.
  6. Schulz, Klaus-Dieter 1996. A monograph of the colubrid snakes of the genus Elaphe Fitzinger. Koeltz Scientific Books, 439 pp.
  7. 高良鉄夫. 1962. 琉球列島における陸棲蛇類の研究. 琉球大学農家政工学部学術報告 (9), 1-202.
  8. 戸田光彦. (2020). 表紙の解説 「ンダトゥガラ」. 爬虫両棲類学会報, 2020 (1).