ミヤコヒキガエル

Bufo gargarizans miyakonis Okada,1931

両生綱 > 無尾目 > ヒキガエル科 > ヒキガエル属 > アジアヒキガエル > ミヤコヒキガエル

概要

[大きさ] 

  • 体長 オス 61–113mm メス 77–119mm [7]

[説明]

  • 在来では宮古諸島にのみ分布する日本固有亜種
  • 四肢が短くずんぐりとした体型
  • 地上性でアリやゴキブリなどを食べる
  • 繁殖期は9〜3月で止水にひも状の卵塊を産む

[保全状況]

  • 環境省レッドデータブック指定:準絶滅危惧
  • 宮古島市自然環境保全条例保全種
分布

[分布]

  • 宮古諸島(宮古島、伊良部島、下地島、池間島、来間島)に自然分布し、南大東島、北大東島に導入されている。沖縄島にも過去に導入されている。

[生息環境]

  • 低地のサトウキビ畑から森林内まで、生息地では様々な場所で見られる。
分類

[分類]

  • 両生綱 > 無尾目 > ヒキガエル科 > ヒキガエル属 > アジアヒキガエル > ミヤコヒキガエル

[タイプ産地] 

  • 宮古島

[説明]

  • ミヤコヒキガエルは1931年にBufo bufo miyakonisとして記載された[10]が、Inger[2]や中村・上野[8]はミヤコヒキガエルを中国本土のアジアヒキガエルB. gargarizansが宮古島に移入されたものとし、これを無効とした。
  • その後、交雑実験や形態計測の結果からミヤコヒキガエルはB. gargarizans miyakonisとして認められるようになり[7]、それからはアジアヒキガエルの宮古諸島固有亜種とされるようになった。
  • 遺伝的には日本に生息する他種(ニホンヒキガエルやナガレヒキガエル)よりも中国本土の基亜種B. g. gargarizansやバンコロヒキガエルB. bankorensisに近い[1]
体の特徴

[形態]

  • 四肢が短くずんぐりとした体型。鼻先は丸い。鼓膜は楕円形で比較的小さい。耳腺は棒状で後ろに皮膚の隆起が続く。背中は隆起に覆われる。水かきは比較的発達する。オスも鳴嚢を持たない。
  • 背面は茶色で皮膚の隆起の頂端は黒い。腹面は薄い黄褐色から黄色味をおびた灰白色で小さな黒い斑点が散らばる。
  • 日本本土のニホンヒキガエルやアズマヒキガエルとは、小型であること、耳腺が短いこと、脇腹に黒い線が基本的に入らないこと、水かきがよく発達することで見分けられる。
生態

[食性]

主に昆虫食。アリ、コガネムシ、ゴキブリ、カメムシ、クモ、ダニ、ワラジムシ、陸貝、ブラーミニメクラヘビ等の食性記録がある[11]。

[繁殖]

  • 9月から3月にかけて産卵する。

[卵]

  • 12000〜14000個ほどの卵を含むひも状の卵塊をため池などの止水に産む。

[幼生]

  • 全身が黒く、全長30mmほどで口は小さい。

[鳴き声]

  • クックックッ・・・
その他

[その他]

  • 沖縄諸島や八重山諸島などの周辺の諸島には在来のヒキガエル自体が存在せず、生物地理学的に非常に興味深い種でもあります。
  • 筆者が宮古島に行ったのは繁殖期の10月のみですが、ありとあらゆる場所にミヤコヒキガエルがおり、道路では多くの個体が轢かれていました。
  • 個人的には日本で一番可愛らしいカエルだと思います。

執筆者:福山伊吹
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引用・参考文献

  1. Igawa, T., Kurabayashi, A., Nishioka, M., & Sumida, M. 2006. Molecular phylogenetic relationship of toads distributed in the Far East and Europe inferred from the nucleotide sequences of mitochondrial DNA genes. Molecular phylogenetics and evolution, 38(1): 250-260.
  2. Inger, R. F., 1947. Preliminary survey of the amphibians of the Riukiu Islands. Fieldiana:Zoology 32 (5):295-352.
  3. 河内紀浩, 渡邉環樹, 新里和野. 2017. 宮古諸島来間島からのミヤコヒキガエルの初記録. Akamata (27):44-46.
  4. 国立環境研究所. 侵入生物データベース. (オンライン) <http://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/40050.html>,参照 2018-01-31.
  5. 前田憲男・松井正文. 1999. 改訂版 日本カエル図鑑. 文一総合出版, 東京.
  6. 松井正文, 関慎太郎. 2016. ネイチャーウォッチングガイドブック日本のカエル 分類と生活史〜全種の生態、卵、オタマジャクシ. 誠文堂新光社, 東京. 256pp.
  7. Matsui, M., 1984. Morphometric variation analyses and revision of the Japanese toads (Genus Bufo, Bufonidae). Contributions from the Biological Laboratory, Kyoto University 26:209–428.
  8. 中村健児・上野俊一. 1963. 原色日本両生爬虫類図鑑. 保育社, 大阪.
  9. 日本爬虫両棲類学会. 2017. 日本産爬虫両生類標準和名リスト.<http://herpetology.jp/wamei/index_j.php>, 参照 2018-02-01.
  10. Okada, Y., 1931. The Tailless Batrachians of the Japanese Empire. Imperial Agricultural Experiment Station, Tokyo.
  11. 屋代弘孝. 1938. ミヤコヒキガエルBufo bufo miyakoensis Okadaの食性並に其の沖縄嶋移入経過. 植物及動物 6:1127-1130.

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