ジムグリ

Euprepiophis conspicillatus (Boie, 1826)

爬虫綱>有鱗目>ヘビ亜目>ナミヘビ科>ジムグリ属>ジムグリ

  • 成体・徳島県
概要

[大きさ] 

  • 全長 70 – 100 cm

[説明]

  • 日本固有種の中型のヘビ
  • 主として山地に生息し、耕作地や草地でも見られるが、森林に多い
  • 半地中性で、「地潜り」が和名の由来である。高温に弱い
  • 成体と幼体で色彩に違いがあり、成体は赤みがかかった茶褐色、幼体は鮮やかな赤色の地に黒の縞が入るが、縞は成長につれて小さくなる。腹面は不規則な白黒の市松模様
  • 時に無斑紋で全身が赤い個体もあり、アカジムグリと呼ばれる
分布

[分布]

  • 日本列島に固有で、北海道、本州、四国、九州のほか、国後島、伊豆大島、隠枝、五島列島、屋久島、種子島などに分布する[6]

[生息環境]

  • 半地中性のヘビで、主として林の中などにすみ、平地の開けた場所にはあまり多くない[4]。
分類

[分類]

  • 爬虫綱>有鱗目>ヘビ亜目>ナミヘビ科>ジムグリ属>ジムグリ

[タイプ産地] 

日本[1]

[説明]

  • ジムグリは1826 年にColuber conspicillatus という日本固有種として記載された[1]。
  • 2002年のUtigerらの分子系統学的研究によって、本種を含むグル-プはナメラ属から遺伝的に大きく分化していることが明らかになり、1843年に本種に対して立てられたEuprepiophis が当てられ、Euprepiophis conspicillatus とされるようになった[7]。
体の特徴

[形態][3][6]

成体

  • 背面は赤みがかかった茶褐色で小さい黒斑が散在している。個体によっては、側方の7-8列目の体鱗の前半部が、とくに胴の前部で黒く縁取られていることもある。
  • 上唇は黄褐色で、下唇は前方の下唇板の繋ぎ目が普通黒く、少なくとも背面の黒条に繋がる部分の下唇板の後縁部も黒い。腹面は赤褐色または淡赤褐色で、それぞれの腹板に1対または1個の四角い黒斑があり、場所によっては腹板の外角部にも小さい黒斑がある。四角い斑紋の位置は不規則であるが、ほぼ2列になっていることが多い。
  • それぞれの尾下板の後外角に小さい黒斑があり、個体によっては、中央の縫合線上にも小さい黒斑が存在することがある。
  • 体鱗は頸部で普通23列、胴の大部分で21列、後部では19列。
  • 肛板は原則として2分し、尾下板は約65-74対ある。

幼体

  • 幼蛇の背面は鮮やかな赤紅色で、黒色の横帯が羅列する。頭部の背面には以下のような4本の黒条がある。
    1. 吻端板と鼻間板との間を横切り、鼻孔を通って第1上唇板の後部に達するもの。
    2. 前額板の後縁部を横切り、眼を通って、最後から2枚目の上唇板に達するもの。口から両眼を繋ぐ黒条。
    3. 額板の中央部から後方両側に分かられて頭頂板を斜断し、後部の側頭板の背縁を通って背鱗に達するもの。
    4. 左右の頭頂板間の縫合線の後部から始まって背鱗の5-6枚目まで伸びるものが見られる。これらの黒条は途切れていることもある。幼体の黒条は成体より目立ち、アカジムグリはこのような黒い斑紋を持たない。
  • 腹面は黄色で成蛇と同じような黒斑がある。頭部の斑紋は成体と同様である。

[見分け方]

  • 同所的に分布し、比較的似ているヘビとしてアオダイショウとシマヘビ、ヒバカリがいるが、色彩や斑紋のほか頭部の形、側稜の有無、体鱗の列数などの違いから明確に識別できる。幼体の鮮やかな色と黒色の横帯は独特なので間違えることはない。
 ジムグリアオダイショウシマヘビヒバカリ
側稜弱い側稜側稜と強いキ-ルあり弱い側稜明瞭なキ-ルある
体鱗21列23-25列19列19列
肛板二分二分二分二分
体長70-100cm110-192cm80-150cm40-60cm
生態

[食性]

  • ヒメネズミ、ネズミ、アズマモグラ、ヒミズなど[2]

[繁殖]

  • 5-6月に交尾を行い6-8月に2-8卵を産む、約50日で孵化[6]。
その他

[コメント]

  • 環境の変化に敏感。潜ることを好み、執筆者が飼育中の個体では飼育容器内に置いた松ぼっくりの隙間を一ヵ所一ヵ所丁寧に探索する行動も見られた。野生個体の飼育は難しく、ペットとしてはお勧めしない。

執筆者:叶林芸


引用・参考文献

  1. Boie, H. 1826. Merkmale einiger japanischer lurche. lsis von oken, Jena. 18-19: p203-216.
  2. 浜中京介.森哲.森口一.2014(2). 日本産ヘビ類の食性に関する文献調査.爬虫両棲類学会報 特集:日本の両生類・爬虫類の食性, p167-181.
  3. 牧茂一郎. 1931. 原色版日本蛇類圖説. 第一書房, 東京, p94-96.
  4. 中村健児., 上野俊一. 1963. 原色日本両生爬虫類図鑑, p146-148.
  5. Stejneger, L. H. 1907. Herpetology of Japan and adjacent territory. Bull. US Natl. Mus, 58: p334-337.
  6. 富田京一・松橋利光. 2007. 山溪ハンディ図鑑10. 日本のカメ・トカゲ・ヘビ, p174-177.
  7. Utiger, U., Notker, H., Beat, S., Catherine, S., Markus, R., & Vincent Z. 2002. Molecular systematics and phylogeny of old and new world ratsnakes, elaphe auct., and related genera (Reptilian, Squamata, Colubridae). Russian journal of herpetology, 9(2): p105-124.

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