Hynobius abuensis Matsui, Okawa, Nishikawa et Tominaga, 2019
両生綱 > 有尾目 > サンショウウオ科 > サンショウウオ属 > アブサンショウウオ
概要
[英名]
Abu salamander [1]
[大きさ]
- 全長 9 – 12 cm [4]
- 頭胴長 5 – 6.5 cm [1]
[説明]
- カスミサンショウウオ阿武型として知られていたが、近年新種として記載された
- 山口県と島根県の一部に分布する
- 2月から5月に水田の溝や水たまり、湿地などに表面に条線があるコイル状の卵嚢を産む
[保全状況]
- 環境省レッドリスト2020：絶滅危惧IB類
- レッドデータブックやまぐち2019：絶滅危惧Ⅱ類（カスミサンショウウオとして）
- 改訂しまねレッドデータブック２０１４：準絶滅危惧種（カスミサンショウウオとして）
分布
[分布]
[生息環境］
- 標高150〜970 m（平均305 m）の水田や湿地の周辺に生息する[1][4]
分類
［分類］
- 両生綱 > 有尾目 > サンショウウオ科 > サンショウウオ属 > アブサンショウウオ
［タイプ産地］
［学名の意味］
種小名のabuensisは本種が分布する阿武地方に由来[1]
［説明］
- 本種はかつてカスミサンショウウオ阿武型とされていた[2][3]。
- 2019年に遺伝的、形態的な違いからカスミサンショウウオから分けられ、新種として記載された[1]。
- 系統的にはトサシミズサンショウウオH. tosashimizuensisに近い[1]。
体の特徴
［形態］[1]
- 背面はオリーブ色で黒褐色と銀白色の斑紋が散在する。腹面は背面よりも明るく、銀白色の小点が散らばる。尾の下面に黄色の条線を持たないことが多い。繁殖期のオスの喉の下面は白くなる。
- 体は大きく、前後肢は長い。尾は非常に長く、頭胴長の90%程度の長さ。肋条数は12。
- 後肢の第五趾はよく発達する。
［似た種との違い］[1]
カスミサンショウウオ種群（カスミ、ヤマト、セトウチ、ヒバ、アキ、イワミ、ヤマグチ、サンイン）の他種とは、大型であること、前後肢と尾が長いこと、助骨歯列の幅が広いこと、肋条数が12であること、後肢の第五趾を持つこと、尾の下面に黄色の条線を持たないことなどで識別できる。また、これらの種とは分布域が重ならない。
生態
［繁殖］
- 繁殖期は2月～3月で、水田の溝や水たまり、湿地などに産卵する[1]
［卵］[1]
- 卵嚢はコイル状で表面に弱い条線が入る。
- 卵数は44–120。
執筆者：福山伊吹
引用・参考文献
- Matsui, M., Okawa, H., Nishikawa, K., Aoki, G., Eto, K., Yoshikawa, N., Tanabe, S., Misawa, Y., & Tominaga, A. (2019). Systematics of the widely distributed Japanese clouded salamander, Hynobius nebulosus (Amphibia: Caudata: Hynobiidae), and its closest relatives. Current herpetology, 38(1), 32-90.
- 大川博志, 奥野隆史, & 宇都宮妙子. (2005). 阿武・津和野地方および山口市に分布するカスミサンショウウオの一集団. 両生類誌, 14, 11-14.
- 大川博志, 奥野隆史, & 宇都宮妙子. (2007). 西日本におけるカスミサンショウウオの3つの大きなグループ. 爬虫両棲類学会報, 2007, 58–59.
- 関慎太郎, & 井上大輔編. (2019). 特盛山椒魚本. NPO法人北九州・魚部（ぎょぶる編集室）.
オスの成体(島根県)
