トサシミズサンショウウオ

Hynobius tosashimizuensis Sugawara, Watabe, Yoshikawa et Nagano, 2018

両生綱 > 有尾目 > サンショウウオ科 > サンショウウオ属 > トサシミズサンショウウオ

幼体(飼育個体)
概要

[大きさ] 

  • 全長 11 – 14 cm [3]
  • 頭胴長 6 – 7 cm [2]

[説明]

  • かつてはオオイタサンショウウオとされていたが、近年新種として記載された
  • 高知県のごく一部に分布する
  • 1月から4月に湿地帯の池などにコイル状の卵嚢を産む

[保全状況]

  • 環境省レッドリスト2020:絶滅危惧IA類
  • 高知県レッドデータブック2018:絶滅危惧I類
  • 国内希少野生動植物種
  • 土佐清水市天然記念物
分布

[分布]

  • 高知県土佐清水市

[生息環境]

  • タイプ産地周辺の数地点の湿地や池のみに生息する[2][3]
分類

[分類]

  • 両生綱 > 有尾目 > サンショウウオ科 > サンショウウオ属 > トサシミズサンショウウオ

[タイプ産地] 

  • 高知県土佐清水市[3]

[学名の意味]

種小名のtosashimizuensisは本種が分布する土佐清水市に由来[3]

[説明]

  • 本種は1972年に初めて発見され、九州に分布するオオイタサンショウウオH. dunniと同種とされていた[2][3]。
  • 2018年に遺伝的、形態的な違いからオオイタサンショウウオから分けられ、新種として記載された[3]。
  • 系統的にはアブサンショウウオH. abuensisに近い[1]。
体の特徴

[形態][3]

  • 背面は暗い緑褐色で斑紋がない。腹面は背面よりも明るく、腹面や体側面には白色の小点が散らばる。
  • 体は大きい。肋条数は10。助骨歯列はU字状。

[似た種との違い][3]

オオイタサンショウウオと似るが、本種は背面に黒い斑点を持たず、腹面に白点を持つこと、体サイズが小さいことで見分けられる。また、本種の卵嚢はコイル型だが、オオイタサンショウウオの卵嚢はバナナ型。

生態

[繁殖]

  • 繁殖期は1月~4月で、水田の溝や水たまり、湿地などに産卵する[2][3]。

[卵]

  • 卵嚢はコイル状で水中の枝に産み付けられる[3]。

執筆者:福山伊吹

北九州市立自然史・歴史博物館 協力


引用・参考文献

  1. Matsui, M., Okawa, H., Nishikawa, K., Aoki, G., Eto, K., Yoshikawa, N., Tanabe, S., Misawa, Y., & Tominaga, A. (2019). Systematics of the widely distributed Japanese clouded salamander, Hynobius nebulosus (Amphibia: Caudata: Hynobiidae), and its closest relatives. Current herpetology, 38(1), 32-90.
  2. 関慎太郎, & 井上大輔編. (2019). 特盛山椒魚本. NPO法人北九州・魚部(ぎょぶる編集室).
  3. Sugawara, H., Watabe, T., Yoshikawa, T., & Nagano, M. (2018). Morphological and molecular analyses of Hynobius dunni reveal a new species from Shikoku, Japan. Herpetologica, 74(2), 159-168.