シロマダラ

Lycodon orientalis (Hilgendorf, 1880)

爬虫綱 > 有鱗目 > ナミヘビ科 > オオカミヘビ属 > シロマダラ

概要

[大きさ] 

  • 全長30–70 cm。小型で細長いヘビ。

[説明]

  • 北海道の一部、本州、四国、九州や周辺の島々の低地から山地まで生息する。
  • 夜行性で日中は物の下や石の隙間に隠れているため見かけることは少ない。
  • 細身で、背面は淡褐色あるいは灰色の地に黒褐色の横斑が多数入る。目はやや小さく瞳孔は縦長。
  • 小型のトカゲやヘビを食べる。
  • 6〜8月に1〜9卵を生み、約1ヶ月半で孵化する。

[保全状況]

  • 環境省レッドリスト指定:なし
  • 都道府県レッドリスト指定:絶滅危惧Ⅰ類(群馬、東京、千葉)絶滅危惧Ⅱ類(青森、岡山、大分)準絶滅危惧(岩手、茨城、富山、石川、三重、大阪、兵庫、徳島、島根、山口、福岡、佐賀)
分布

[分布]

  • 北海道・本州・四国・九州・奥尻島・佐渡島・伊豆大島・隠岐・壱岐・五島列島・種子島・屋久島・硫黄島(鹿児島県)などに分布。

[生息環境]

  • 低地から山地までの林床に生息する。夜行性で日中は物の下や石の隙間に隠れているため見かけることは少ない。
分類

[分類]

  • 爬虫綱 > 有鱗目 > ナミヘビ科 > オオカミヘビ属 > シロマダラ

[タイプ産地] 

  • 東京 (採集者:Hilgendorf)

[説明]

  • かつては形態に基づきマダラヘビ属 (Dinodon) に含まれていたが、近年の分子系統学的研究により、マダラヘビ属はオオカミヘビ属 (Lycodon) に内包されることが明らかとなり、マダラヘビ属がオオカミヘビ属のシノニムとされるようになったことで、本種もオオカミヘビ属に含まれるようになった[1]。
体の特徴

[形態]

  • 背面の地色は淡褐灰色で、胴に44、尾に20の黒褐色の横斑がある。
  • 体鱗列数は17で、後方の中央部5または6列には弱いキールがあるが、そのほかは滑らか。腹板数は196–214。肛板は二分し、尾下板数は68–77[2]。
  • 全長は30–70 cm。尾は全長の20%程度を占める[2]。
  • 頭胴長や体重に雌雄差は認められない[6]。

[似た種との違い]

シロマダラは、アオダイショウやニホンマムシの幼蛇に似る。

  • マムシ:マムシの頭部は大きく三角形だが、シロマダラは頭部が小さく、首との境目がさほど明瞭ではない。シロマダラは胴体と尾が細長いが、マムシはやや寸詰まりの体型で、尾は短く胴体から急激に細くなる。マムシは目の前方に孔(ピット器官)があるが、シロマダラにはそれがない。
  • アオダイショウ:アオダイショウは目の後ろに明瞭な黒い線が後方に向かってに入る。アオダイショウは目が大きく瞳孔が丸いが、シロマダラの目は小さく、瞳孔は縦長である。アオダイショウの胴体の模様は複雑なはしご状をしているが、シロマダラは明瞭な黒い横斑が入る。
生態

[食性]

  • 小型の有鱗目爬虫類を捕食する。ニホントカゲおよび同属のトカゲ類、ニホンカナヘビ、タワヤモリ、タカチホヘビ、ヒバカリなどが捕食記録として報告されている[3, 4, 6, 7]。

[捕食]

  • シマヘビ、イエネコに捕食された例がある[5]

[繁殖]

  • 6〜8月に1〜9卵を生み、約1ヶ月半で孵化する。

[行動]

  • 山梨県では、11月から4月にかけて冬眠することが確認された[6]。
その他

執筆者:藤島幹汰


引用・参考文献

  1. Guo, P., Zhang, L., Liu, Q., Li, C., Pyron, R. A., Jiang, K., & Burbrink, F. T. (2013). Lycodon and Dinodon: one genus or two? Evidence from molecular phylogenetics and morphological comparisons. Molecular Phylogenetics and Evolution68(1), 144-149.
  2. 牧茂一郎. 1931. 原色版日本蛇類圖説. 第一書房, 東京.
  3. Mori, A. and H. Moriguchi. 1988. Food habits of the snakes in Japan: A critical review. The Snake 20:98-113.
  4. 浜中京介, 森哲, 森口一. 2014. 日本産ヘビ類の食性に関する文献調査. 爬虫両棲類学会報 2014(2):167-181.
  5. Tanaka, K., & Mori, A. (2000). Literature survey on predators of snakes in Japan. Current herpetology19(2), 97-111.
  6. Yamasaki, Y., & Mori, Y. (2015). Natural History of the Oriental Odd-Tooth Snake (Dinodon orientale) in Yamanashi, Japan: Seasonal Activity and Body Condition Associated with Sex. Current herpetology34(1), 60-66.
  7. 越智慎平. 2016. シロマダラ(Dinodon orientale)によるタワヤモリ(Gekko tawaensis)の捕食例. 爬虫両棲類学会報, 1: 37-39.

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