ヤエヤマヒメアマガエル

Microhyla kuramotoi Matsui et Tominaga, 2020

両生綱 > 無尾目 > ヒメアマガエル科 > ヒメアマガエル属 > ヤエヤマヒメアマガエル

  • 成体(西表島)
概要

[大きさ] 

  • 体長 2.4~2.8cm

[説明]

  • 八重山諸島の固有種
  • 将棋の駒のような独特の体型を持つ
  • オタマジャクシは半透明で表~中層を泳ぐ
  • 2020年、ヒメアマガエルから種が分けられた
分布

[分布]

  • 石垣島、竹富島、小浜島、西表島、波照間島(八重山諸島)

[生息環境]

  • 低地から山地まで様々な環境でみられる。
分類

[分類]

  • 両生綱 > 無尾目 > ヒメアマガエル科 > ヒメアマガエル属 > ヤエヤマヒメアマガエル

[タイプ産地] 

  • 石垣島

[説明]

  • ヒメアマガエルと鳴き声が異なることが古くから指摘されていた[2]。
  • 遺伝的にはヒメアマガエルより中国中南部に分布するMicrohyla mixturaに近い[5]。
  • ホロタイプ標本は琉球大学附属博物館”風樹館”に保管されている[5]。
  • 種小名”kuramotoi”は福岡教育大学の倉本満名誉教授に由来する[5]。
体の特徴

[形態]

  • 体は扁平で、将棋の駒に似た形をしている。
  • 胴体に比べて頭部が小さい。後肢はよく発達している。水掻きの発達は悪い。
  • 体色は、吻から後肢の付け根に向けて黒色の線があり、そこを境に褐色の背面と灰色の腹面に体色が分かれる。通常、背面の中心部に暗褐色の斑紋がある。

[似た種との違い]

同所的に生息する種で、形態の似たようなものはいない。宮古諸島以北からトカラ列島にかけて分布するヒメアマガエルと似ているが、ヤエヤマヒメアマガエルはより大型となり、腹面の模様が喉から腹部まで広がる。また、後ろ脚が短い[5]。


生態

[食性]

  • 近縁なヒメアマガエルは同属他種と同じようにアリを好んで捕食するスペシャリストであるとされている[1]。本種もアリを好んで捕食している可能性がある。

[繁殖]

  • 2~10月に繁殖する[5]。
  • 池や水田、側溝の水溜まり、流れの穏やかな小河川など、主に止水に産卵する[5]。

[卵]

  • 1.0~1.3mm。ヒメアマガエルより大きい[4]。
  • 表層に膜状の卵塊を産む[5]。

[幼生]

  • 近縁なヒメアマガエルでは大きなものだと全長40mm近くになる[3]。
  • 体は半透明で、眼は頭部の側面に離れて位置する。
  • 表・中層を群れで遊泳し、プランクトンを捕食する[5]。
  • ヒメアマガエルの幼生と非常に似た形態をしており、両者の明確な識別点はないとされる[5]。
その他

執筆者: 高田賢人


引用・参考文献

  1. Hirai, T., & Matsui, M. 2000. Ant specialization in diet of the narrow-mouthed toad, Microhyla ornata, from Amamioshima Island of the Ryukyu Archipelago. Current Herpetology, 19(1), 27-34.
  2. Kuramoto, M. 1977 (1976). Mating calls of the frog, Microhyla ornata, from the Ryukyu Islands. Bulletin of the Fukuoka University of Education, Part III 26: 91–93.
  3. 松井正文・前田憲男. 2018. 日本産カエル大鑑. 株式会社文一総合出版, 東京. 272pp.
  4. Matsui, M. & Ota, H. 1984. Parameters of fecundity in Microhyla ornata from the Yaeyama group of the Ryukyu Archipelago. Japanese Journal of Herpetology 10: 73–79.
  5. Matsui, M., & Tominaga, A. 2020. Distinct Species Status of a Microhyla from the Yaeyama Group of the Southern Ryukyus, Japan (Amphibia, Anura, Microhylidae). Current Herpetology, 39(2), 120-136.