Rana neba Ryuzaki, Hasegawa et Kuramoto, 2014
両生綱 > 無尾目 > アカガエル科 > アカガエル属 > ネバタゴガエル
概要
[大きさ]
[説明]
渓流周辺に生息する小型のアカガエル。 本州中部地方南部と志摩半島に分布する。 伏流水中に産卵する。 犬のような鳴き声で鳴く。 近縁種であるタゴガエルと明確な形態差はない。
[保全状況]
分布
[分布]
本州中部地方南部および志摩半島[1, 2, 3]。
[生息環境]
分類
[分類]
両生綱 > 無尾目 > アカガエル科 > アカガエル属 > ネバタゴガエル
[タイプ産地]
[説明]
タイプ標本は広島大学両生類研究センターに保管されている[2, 3]。 種小名”neba”は、タイプ産地の根羽村に由来する[3]。 鳴き声や染色体数に差が見られるため、タゴガエルから分けられた。両種の間で形態差はほとんど認められない[3]。 ネバタゴガエルの核型は2n=28で、タゴガエルでは2n=26[3]。 愛知県北西部ではタゴガエルと混在しており、交雑から生じたと考えられる2n=27の核型をもつ個体も得られている[1]。 音声・核型・分子系統解析の結果が一致しないため、分類学的再検討が必要であるとされている[1]。
体の特徴
[形態]
背面は赤褐色~茶褐色で、背面に黒や灰色の斑模様が入ることもあり、変異に富む。喉には白地に黒い斑模様が入る。 体は寸動で、手足は太く短め。 背側線隆条は明瞭で、鼓膜の後ろ側で曲がる。 後肢の指には水掻きがあるものの、あまり発達しない。
[似た種との違い]
ネバタゴガエルは同じアカガエル属であるニホンアカガエルやヤマアカガエルと似ている。ネバタゴガエルは両種と比べて寸動で、体に対して手足が太い。また、鼻先が丸い。本種の背側線隆条は鼓膜の後ろで曲がるが、ニホンアカガエルでは真っ直ぐで、ヤマアカガエルでは鼓膜の手前から曲がり始める。
近縁種であるタゴガエルとは明瞭な形態差がない。本種の鳴き声は第1ノートで1.0-1.7kHzという特徴があり、タゴガエルのタイプ産地(岐阜県高山市)周辺産のものとは区別できる。核型はタゴガエルで2n=26、ネバタゴガエルで2n=28のため、これを用いて識別するのが確実である[3]。
タゴガエル ネバタゴガエル
生態
[食性]
近縁種であるタゴガエルは昆虫類、クモ類、陸貝を捕食する[2]。
[繁殖]
繁殖期は4~5月[2]。 基本的に伏流水中で産卵する[2]。
[卵]
白色で卵径3.0 mm程度。129個ほどの卵を球形の卵塊として産む[2]。
[幼生]
成長しても黒色素は少ない[2]。 幼生は最大で24mm程度[2]。
執筆者:高田賢人
引用・参考文献
江頭幸士郎・松井正文・國領康弘・島田知彦・山田哲也. 2016. ネバタゴガエルについて. 九州両棲爬虫類研究会誌 7: 50-52. 松井正文・前田憲男. 2018. 日本産カエル大鑑. 株式会社文一総合出版, 東京. 272pp. Ryuzaki, M., Y. Hasegawa, and M. Kuramoto. 2014. A new brown frog of the genus Rana from Japan (Anura: Ranidae) revealed by cytological and bioacoustic studies . Alytes 31: 49-58.