ナガレタゴガエル

Rana sakuraii Matsui et Matsui, 1990

両生綱 > 無尾目 > アカガエル科 > アカガエル属 > ナガレタゴガエル

概要

[大きさ] 

  • 体長 4–6 cmほど。雌の方が大きい。

[説明]

  • 関東地方から山陰地方の山間部周辺でみられる、日本固有種のカエル。
  • 他のタゴガエル類と比較して、後肢の水かきが非常に発達しており、鼓膜も不明瞭である。
  • 繁殖期は2–4月。

[保全状況]

  • 環境省レッドリスト2020未掲載
分布

[分布]

  • 栃木・新潟以西の本州

[生息環境]

  • 低山地に棲む。晩秋から繁殖期までは、渓流の水中で過ごす。[1]
分類

[分類]

  • 両生綱 > 無尾目 > アカガエル科 > アカガエル属 > ナガレタゴガエル

[タイプ産地] 

  • 東京都奥多摩町 [2]

[説明]

  • 学名のsakuraii は発見者である写真家桜井淳史氏に献名されたもの[2]
体の特徴

[形態]

  • 背面は褐色。腹側はクリーム色で、喉元から胸にかけて褐色の染みのような模様がある。
  • 繁殖期には体側の皮膚が顕著に伸びて、たるむ。

[似た種との違い]

  • タゴガエルとは低山地で同所的に分布するが,本種は後肢の水かきがよく発達することで見分けられる
ナガレタゴガエルタゴガエル   
生態

[繁殖]

  • 秋には繁殖場所まで渓流中を泳いで流れ下る。[6]
  • 繁殖期は2–4月.一か所では3週間程度[1]。
  • 渓流で繁殖し,卵は岩の裏面に産み付ける[4]。

[成長]

  • 雌雄ともに2–3歳から繁殖に参加する.野外での寿命は6歳ほどである.[5]

[冬眠]

  • 成体は10月末になると渓流に移動し、川を流れ下ったのち、浅瀬の石の下で冬眠する。この冬眠前の移動は数キロに及ぶこともあるらしい 。[6]

[卵]

  • 蔵卵数はふつう140~250個ほどで,複数回に分けて産むこともある [4]。

[幼生]

  • 全身に色素が少なく,白っぽい。
  • 変態期は6月.その時の体長は1cmにも満たない [7]。

[鳴き声]

  • ググググ…と水中で鳴く[1]。
その他

執筆者:木村楓


引用・参考文献

  1. 松井正文・前田憲夫. (2018). 日本産カエル大鑑. 文一総合出版.
  2. Matsui, T., and M. Matsui. (1990). A New Brown Frog ( Genus Rana ) from Honshu , Japan. Herpetologica 46:78–85.
  3. Eto, K., and M. Matsui. (2014). Cytonuclear discordance and historical demography of two brown frogs, rana tagoi and r. sakuraii (amphibia: Ranidae). Molecular Phylogenetics and Evolution 79:231–239.
  4. 三輪時男. (2002). 秋山川流域におけるナガレタゴガエルの生態学・発生学的研究の生息環境の保全について. とうきゅう環境浄化財団.
  5. 三輪時男. (2006). 秋川上流域におけるナガレタゴガエルの生命表の作成及び水位と流下行動の相関関係について. とうきゅう環境浄化財団.
  6. Miwa, T. (2018). Conditions controlling the timing of the autumn migration to hibernation sites in a Japanese headwater frog, Rana sakuraii. Journal of Zoology 304:45–54.
  7. 松井正文・関慎太郎. (2008). カエル・サンショウウオ・イモリのオタマジャクシハンドブック. 文一総合出版.

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