ヤエヤマタカチホヘビ

Achalinus formosanus chigirai Ota et Toyama, 1989

爬虫綱 > 有隣目 > ヘビ亜目 > タカチホヘビ科 > タカチホヘビ属 > タイワンタカチホヘビ > ヤエヤマタカチホヘビ

概要

[大きさ] 

  • 頭胴長約25–40cm。基亜種のタイワンタカチホヘビは全長85cmほどになると言われている[1]。

[毒性] 

  • 無毒

[説明]

  • 背面は紫がかった黒色で、腹面は白〜黄色。体全体に虹色の光沢がある。
  • 性格はおとなしく、ほとんど噛むことはない。
  • 1989年に記載された、比較的新しい亜種[2]。
  • 地上性で湿潤な森林に生息する。発見例は非常に少なく、生態などについてはほとんど何も調べられていない。
  • ミミズを捕食する[1,]。

[保全状況]

  • 環境省レッドデータブック指定:絶滅危惧II類
  • 都道府県レッドデータブック指定:準絶滅危惧(沖縄県)
  • 石垣市自然環境保護条例保全種
分布

[分布]

  • 八重山諸島(石垣島・西表島)

[生息環境]

  • 湿潤な常緑広葉樹林。落ち葉や倒木の下などで発見されることも多いが、夜間や夕方に林道を這っていることもある。
分類

[分類]

  • 爬虫綱 > 有隣目 > ヘビ亜目 > タカチホヘビ科 > タカチホヘビ属 > タイワンタカチホヘビ > ヤエヤマタカチホヘビ

[タイプ産地] 

  • 西表島上原(採集者:K. Miyagi)[2]

[説明]

  • 1989年に新しく記載された、比較的新しい亜種である[2]。
  • 台湾に基亜種 Achalinus formosanus formosanus Boulenger, 1908 が生息する。台湾の基亜種は1000m~2000mの山地に生息している[4]が、本種は低海抜でも見られる。
体の特徴

[形態][1,6]

  • 体は細い。タカチホヘビと比べて尾が長い。
  • 尾下板は一列。尾下板数は基亜種タイワンタカチホヘビより多い。
  • 背面は紫〜黒色。
  • 眼は小さく、瞳孔は丸い。

[似た種との違い]

同所的に生息するヘビで、尾下板が一列なのは本種のみである。全身に模様がなく、頭部に虹色の光沢があることも本種の特徴である。

生態

[食性]

  • ミミズを捕食する[1,5]

[繁殖]

  • 繁殖に関する記録はなく、詳しいことはわかっていない。8月始めに孵化幼体と思われる乾燥死体が発見されており、この時期が孵化期に当たるのではないかと考えられている[1]。

[行動]

  • 刺激すると尾を振るような防御行動が見られることがある。
  • 野外で観察された幼蛇を指で突いて刺激した際、尾の全体をゆっくり、大きく動かすと同時に、先端3分の1ほどを激しく振るといった行動が見られた。この行動は捕食者の注意を尾に引きつけ、頭部への攻撃を避けるための行動だと推測できる[5]。
その他

[コメント]

  • 日本でも有数の珍蛇。タカチホヘビやアマミタカチホヘビと似たような生態だと考えられるが、両者とは比べ物にならないほど、本種の発見例は非常に少ない。
  • 朽木や腐植質の下などで見つかることもあり、地中性が強いと思われる。こういった要因も本種が見つかりにくい理由の一つなのかと思われる。
  • 一見地味にも見えるが、頭部を中心に見られる虹色の光沢は筆舌しがたい美しさである。小さなオス個体が見つかることが多いようで、これまで報告されている個体もオスが多い。いつか大型のメスを見てみたいものだ。

執筆者:福山亮部


引用・参考文献

  1. 太田英利. 2014. 環境省(編)レッドデータブック2014 ー日本の絶滅のおそれのある野生生物ー 3爬虫類・両生類. (株)ぎょうせい, 東京.
  2. Hidetoshi Ota and Masanao Toyama. 1989. Taxonomic Re-Definition of Achalinus formosanus Boulenger (Xenoderminae: Colubridae: Ophidia), with Description of a New Subspecies. Copeia, Vol. 1989, No. 3:597-602.
  3. 日本爬虫両棲類学会. 2017. 日本産爬虫両生類標準和名リスト. <http://herpetology.jp/wamei/index_j.php>, 参照 2021-02-28.
  4. 向高世, 李鵬翔, 楊懿如. 台灣兩棲爬行類圖鑑. 台灣. 貓頭鷹出版. 2009.
  5. Fukuyama, R., Fukuyama, I. 2021. ACHALINUS FORMOSANUS CHIGIRAI (Yaeyama Odd-scaled Snake). DEFENSIVE BEHAVIOR AND DIET. in press. Herpetological Review.
  6. OTA, H., & TOYAMA, M. 1989. Two Additional Specimens of Achalinus formosanus chigirai (Colubridae: Ophidia) from the Yaeyama Group, Ryukyu Archipelago. Japanese Journal of Herpetology13(2), 40-43.

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