タイワンスジオ

Elaphe taeniura friesi (Werner, 1926)

爬虫網>有鱗目>ヘビ亜目>ナミヘビ科>ナメラ属>スジオナメラ>タイワンスジオ

沖縄島にて撮影
概要

[大きさ] 

  • 全長 220~270 cm

[説明]

  • 大型のナミヘビで、アジアに広く分布するスジオナメラの台湾亜種。
  • 眼の後方から口角の上側に達する明瞭な黒い線があり、別名の「黒眉錦蛇」はこの黒線に由来する。
  • 木に登る能力が高く、7メートルの木を登って雛を捕食した記録がある。
  • 森林や草地に生息するが、人里の近郊もよく見られ、かつては食用とされていた。そのため、台湾では「家蛇」とも呼ばれる。

[保全状況]

  • 原産地の台湾では、保育類(日本における天然記念物に相当)の「III:その他保全すべき野生動物」に指定。
分布

[分布]

  • 原産地は台湾で、沖縄島に帰化している

[生息環境]

  • 森林や草むら、農耕地に生息し、木によく登る。
  • 原産地でも人里から森林まで幅広い場所に生息し、よく木に登ることが知られている。
分類

[分類]

  • 爬虫網>有鱗目>ヘビ亜目>ナミヘビ科>ナメラ属>スジオナメラ>タイワンスジオ

[タイプ産地]

  • Takow(高雄)

[説明]

  • スジオナメラ Elaphe taeniura の台湾亜種として1926年に記載された[7]。2002年には遺伝的な違いに基づき、スジオナメラを含むグループにOrthriophisという新属が立てられたが[5]、近年の研究ではOrthriophisはナメラ属Elaphe に内含されることから、OrthriophisElapheのシノニムとされた[8]。
体の特徴

[形態][4]

  • 顔つきはやや角ばる。
  • 瞳孔は丸く、虹彩の左右に横帯がある。眼の後方にはっきりした黒い線をもつ。
  • 舌は黒く、舌の両脇は青い。
  • 背面は褐色がかった黄色やオリーブ色で、胴の途中まで蝶型の黒斑が並ぶ。黒斑は次第に大きく明瞭となって尾部では縦条に移行する。腹面の色は淡く、大きな黒い斑点がある。 
  • 胴体中央部背面の体鱗は23列または25列。
  • 腹板の両端には側稜が発達する。

[見分け方][4]

  • 八重山諸島に分布するサキシマスジオElaphe taeniura schmackeriによく似るが、斑紋や舌の色が異なる。
  • サキシマスジオの舌は赤いのに対し、タイワンスジオの舌は黒く、両脇は青い。
  • 体色は、タイワンスジオは中国大陸のタイリクスジオE. t. taeniuraと酷似しており、黄色みが強いのに対し、サキシマスジオは相対的に地味な緑やオリーブ色の個体が多い。
生態

[食性]

  • 主に鳥や小哺乳類を捕食し、鳥の卵やカエルも食べる[4]。

[繁殖][4][6]

  • 卵生。
  • 5月から繁殖期が始まり、夏に2―16個産卵する。
  • 卵は通常約1ヶ月で孵化するが、低温だと2.5ヶ月を要する。

執筆者:叶林芸

引用・参考文献

  1. 陸域保育類野生動物名錄.https://conservation.forest.gov.tw/0002021 閲覧2020/2/5.
  2. 村上興正・鷲谷いづみ. 2002. 日本生態学会(編). 外来種ハンドブック, p100.
  3. 太田英利.1995.沖縄島嶼研究. 琉球列島における爬虫・両生類の移入, (13) : 63-78.
  4. 富田京一・松橋利光. 2007. 山溪ハンディ図鑑10. 日本のカメ・トカゲ・ヘビ,  p173.
  5. Utiger, U., Notker, H., Beat, S., Catherine, S., Markus, R., & Vincent Z. 2002. Molecular systematics and phylogeny of old and new world ratsnakes, elaphe auct., and related genera (reptilian, squamata, colubridae).  Russian journal of herpetology, 9(2): p105-124.
  6. 向高世. 楊懿如. 李鵬翔. 2009年. 台灣兩棲爬行類圖鑑(全新美耐版),  p258-p259.
  7. Werner, F. 1926. Neue oder wenig bekannte schlangen aus dem wiener naturhistorischen staatsmuseum (III. Teil). Sitzungsb. Akad. Wiss. Wien, Math. Naturwiss. Kl. 143 [135]: 243-257.
  8. Chen, X., Lemmon, A.R., Lemmon, E.M., Alexander Pyron, R., Burbrink, F.T. 2017. Using phylogenomics to understand the link between biogeographic origins and regional diversification in ratsnakes. Molecular phylogenetics and evolution, 111(2017) p206-218.

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