ケラマトカゲモドキ

Goniurosaurus kuroiwae sengokui Honda et Ota, 2017

爬虫綱>有鱗目>トカゲ亜目>トカゲモドキ科>トカゲモドキ属>クロイワトカゲモドキ>ケラマトカゲモドキ

概要

[方言名]

ヒヤカイ、アシハブ、ジーハブ 

[英名] 

Sengoku’s ground gecko

[大きさ] 

  • 全長 14–19 cm

[説明]

  • 種クロイワトカゲモドキの渡嘉敷島・阿嘉島固有亜種
  • 桃色〜橙色のバンドが背中に4本入る
  • 背側の模様や色彩、体型によって他のトカゲモドキ類と判別可能
  • 夜行性で湿潤な林内や洞窟内でみられる

[保全状況]

  • 絶滅危惧IB類(環境省RDB)、沖縄県指定天然記念物、国内希少野生動植物種(種の保存法)
分布

[分布]

  • 渡嘉敷島、阿嘉島(沖縄県)[3]

[生息環境]

  • 湿潤な常緑広葉樹林、二次林、およびその周辺[3,4,5,6]
分類

[分類]

  • 爬虫綱>有鱗目>トカゲ亜目>トカゲモドキ科>トカゲモドキ属>種クロイワトカゲモドキ>亜種ケラマトカゲモドキ

[タイプ産地] 

渡嘉敷島[3]

[学名の由来]

  • 種小名は日本の動物学者で、爬虫類を含む野生生物の社会認知の向上に大きく貢献した千石正一氏にちなむ[3]

[説明]

  • 本亜種は現在、種クロイワトカゲモドキの亜種とされているが、独立種とする考えもある。長年マダラトカゲモドキとして扱われてきたが、2017年に別種として記載された[3]。遺伝的にはマダラトカゲモドキに近縁である[2]

体の特徴

[形態]

頭胴長50–92 mm[3]。指下板はなく、まぶたをもつ。体は細く、背側は黒地で4本の桃色〜橙色のバンドをもつ。バンドの間と四肢、頭部に不規則な斑紋をもつ。腹面は白〜灰色。眼の虹彩は黄褐色〜金色を呈する。一度も切断していない尾は細長く、白色のバンドが5本入る。自切後に再生した尾は太く短く、白色のまだら模様が入る。幼体には桃色のバンドが4本入り、頭部にも桃色の斑紋を持つ。バンドの間に斑紋はない[3]。

[似た種との違い]

亜種クロイワトカゲモドキとは背側のバンドの有無、バンドの色で区別できる(vs. 橙色〜桃色の縦条線or桃色〜クリーム色のバンドorバンドなし)。イヘヤトカゲモドキとはバンド間の斑紋の有無、胴部の太さで区別できる(vs. バンドの間に斑紋なし、胴部が太い)。クメトカゲモドキとはバンドの色と虹彩の色で区別できる(vs. 淡黄〜黄色のバンド、黄褐色の虹彩)。マダラトカゲモドキとはバンドの色と虹彩の色で区別できる(vs. 淡黄〜黄色のバンド、橙褐色の虹彩)。また、ケラマトカゲモドキと同所的に生息するトカゲモドキ類はいないため、生息地から容易に同定が可能である[1,3,7]。

生態
  • 本種の生態に関する知見は乏しいが、種クロイワトカゲモドキと類似していると考えられている
その他

[コメント]

  • ケラマトカゲモドキは開発に伴う環境の悪化によって数を減らしていると考えられている[6,7]。また、違法採集も行われているようで、欧米の市場においてペット用として取引されていることが知られている[7]。本亜種は生態や進化史には不明な点が多く、今後、さらなる研究が望まれる。

執筆者:福家悠介


引用・参考文献

  1. Grismer, L. L., Ota, H. & Tanaka, S. 1994. Phylogeny, classification, and biogeography of Goniurosaurus kuroiwae (Squamata: Eublepharidae) from the Ryukyu Archipelago, Japan, with description of a new subspecies. Zoological Science, 11, 319–335.
  2. Honda, M., Kurita, T., Toda, M. & Ota, H. 2014. Phylogenetic relationships, genetic divergence, historical biogeography and conservation of an endangered gecko, Goniurosaurus kuroiwae (Squamata: Eublepharidae), from the Central Ryukyus, Japan. Zoological Science, 31, 309–320.
  3. Honda, M. & Ota, H. 2017. On the live coloration and partial mitochondrial DNA sequences in the topotypic population of Goniurosaurus kuroiwae orientalis (Squamata: Eublepharidae), with description of a new subspecies from Tokashikijima island, Ryukyu Archipelago, Japan. Asian Herpetological Research, 8, 96–107.
  4. 田中聡.1996.クロイワトカゲモドキ.日本動物大百科5 両生類・爬虫類・軟骨魚類,pp 71.平凡社.
  5. 戸田守.2018.ケラマトカゲモドキ.環境省レッドリスト2018補遺資料,pp 16.環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室.
  6. 戸田守・田中聡.2017.マダラトカゲモドキ.改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)第3版-動物編-,pp 184–185.沖縄県環境部自然保護課.
  7. 若尾慶子.2018.南西諸島固有両生類・爬虫類のペット取引.Traffic Briefing 2018年5月,1–18.

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