センカクトカゲ

Plestiodon takarai Kurita, Ota et Hikida, 2017

爬虫綱 > 有鱗目 > トカゲ亜目 > トカゲ科 > トカゲ属>センカクトカゲ

概要

[大きさ] 

  • 全長 14–17㎝

[特徴]

  • 若齢幼体の尾が先端半分のみ青くなるなどの形態的特徴を持つ

[保全状況]

  • 環境省レッドデータブックにて絶滅危惧1B類に指定
分布

[分布]

  • 尖閣諸島の魚釣島、北小島、南小島、久場島。
  • 生息地面積は7㎢足らずである。

[生息環境]

  • 海岸から山地の岩場、草原など多様な環境に生息する。
分類

[分類]

  • 学名のtakaraiは第二次世界大戦後に尖閣諸島の爬虫類調査を行った琉球大学の高良鉄夫博士に由来する[1]。
  • 近縁種との分類学的関係
    本種は台湾、中国大陸とその周辺の島々に分布するアオスジトカゲP. elegansと同種とされていたが、遺伝的・形態的な差が見られることから2017年に栗田らによって新種記載された[1]。

[タイプ産地] 

  • 尖閣諸島北小島

[説明]

  • 2017年に新種として記載された

[形態]

  • 成体は背面の体色が黄褐色で、体表は平滑で光沢がある。
  • 幼体の背面は黒褐色に5本の黄白色の縦線が見られる。尾は先端側の半分のみが青色。
  • 体形は寸胴であり、太短い手足を持つ。

[似た種との違い]

  • 尖閣諸島にはミナミヤモリとスベトカゲの一種が生息するが[3]、形態的に大きく異なり、同定は平易である。台湾に分布するアオスジトカゲの個体群と本種の成体は酷似するが体鱗列数が異なり、アオスジトカゲが24-28(通常は26)なのに対し、センカクトカゲは26-29である。若齢幼体はアオスジトカゲで尾が基部を除き全て青くなるのに対し、本種は尾の先端側から半分のみが青くなることから識別することができる[1]。
生態

[食性]

  • ハマヨコエビ類、ゴキブリ類、鱗翅目の幼虫、ヨコバイ類などが胃内容物で確認されている。
  • カツオドリが雛に持ち帰った魚の一部を食べている観察例もある[2]。

[繁殖]

  • メスは地表の岩の下などを掘って空所を作り、そこに産卵する。産卵後、孵化するまで卵の保護を行う[1,2]。

[卵]

  • 岩の下などに6,7個産卵する[2]。
  • 6月下旬に孵化する[2]。

[幼体]

  • 幼体の背面は黒褐色に5本の黄白色の縦線が見られる。尾は先端側の半分のみが青色。
その他

[その他]

  • 分布する尖閣諸島は日本・中国・台湾間の領土問題によって、自由な調査が行えない状況にあり現状は不明だが、魚釣島は野生化したヤギによって植生の後退等の問題が起こっており、個体数の減少が危惧されている[1]。

執筆者:高田賢人


引用・参考文献

1. Kurita K., Ota H. & Hikida T.. 2017. A new species of Plestiodon (Squamata: Scincidae) from the Senkaku Group, Ryukyu Archipelago, Japan. Zootaxa, 4254(5): 520-536.

2. 太田秀利. 2014.アオスジトカゲ. “レッドデータブック2014 -日本の絶滅のおそれのある野生生物- 3 爬虫類・両生類”, 環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室(編), 株式会社ぎょうせい, 東京, 18-19.

3. 横畠恭志・横田昌嗣・太田英利. 2009. 尖閣諸島魚釣島の生物相と野生化ヤギ問題. IPSHU研究報告シリーズ42号: 307-326.

「センカクトカゲ」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: ニホントカゲ – Web両爬図鑑

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