グリーンイグアナ

Iguana iguana (Linnaeus, 1758)

爬虫綱 > 有鱗目 > イグアナ科 > イグアナ属 > グリーンイグアナ

  • 木の上で休むオス成体(3月)
概要

[大きさ][1]

  • 頭胴長 雌:約236–441 mm、雄:約250–580 mm.
  • 尾長 頭胴長の約190–260 %.

[説明][1],[2]

  • 中南米から南米、西インド諸島に自然分布[1],[2].
  • フロリダ半島南部やハワイに加え、熱帯域の様々な島嶼に移入されている.日本では石垣島北部に外来種として定着している.
  • 幼体は鮮やかな緑色を呈するが、成長に伴って褐色を帯びることが多い[1].
  • 成体はほとんどの時間を樹上で過ごし、幼体は地上や背丈の低い植物上でよく見られる.
  • 複数個体が集まって見られることがある.
  • 地面に穴を掘って産卵する.

[保全状況][3],[4]

  • IUCNレッドリスト:LC (Least Concern)[3].
  • 重点対策外来種(外来生物法)[4]
分布

[分布][1]

  • 中南米から南米原産.
  • フロリダ半島南部やハワイに加え、熱帯域の様々な島嶼に移入されている.
  • 日本では石垣島北部に外来種として移入され、定着している.

[生息環境][1],[5]

  • 原産地では低地の熱帯雨林を中心に生息し、河畔林でよく見られる[1].
  • 半乾燥地域から湿潤な地域まで幅広い気候帯に生息する.[5]
分類

[分類]

爬虫綱 > 有鱗目 > イグアナ科 > イグアナ属 > グリーンイグアナ

[タイプ産地][6]

Indiis

体の特徴

[形態][1]

  • 幼体は鮮やかな緑色を呈するが、成長に伴って褐色を帯びることが多い.
  • 頸の後ろの鱗はたてがみ状に伸長し、幼体ではそれほど大きくないが、オス成体で特に長く10–40mmに達する.
  • 尾はやや側扁し、尾の下面の鱗は上面や側面のものよりわずかに大きい.
  • 繁殖期のオス成体は胴の広い部分が金色や赤橙色を帯びる.

[似た種との違い]

  • 石垣島に生息するサキシマキノボリトカゲと間違えられる可能性がある。
  • 本種は、成体では非常に大型になる点、鼓膜が露出している点、鼓膜の下に大型の円形鱗を持つ点などからサキシマキノボリトカゲと区別できる.
  • サキシマキノボリトカゲにも解説があるため、そちらも参照.
サキシマキノボリトカゲ(オス)
幼体(石垣島)
生態

[生活史][1], [5],[7]

  • 昼行性で日光浴を好み、活動時の体温は33–38 度に達する[1].
  • 3 年間で頭胴長約260 mm となり、性成熟する[1].
  • 成体はほとんどの時間を樹上で過ごし、幼体は地上や背丈の低い植物上に見られることがある[1].
  • 複数個体が集まって見られることがある[1].
  • 半乾燥地域に生息する個体群では湿潤な生息地に生息する個体群に比較して体サイズも小さい[5].
  • 半乾燥地域の個体群では卵の数が少なく、大きな卵を産む[5].
  • 捕食者に見つかった場合、木の下の地面や水面に向かって飛び降りることがあり、潜水も行う[7].

[食性][1]

一生を通してほぼ植物食性だが、昆虫を捕食することもある.

[繁殖][1],[5]

以下は原産地であるコスタリカにおける繁殖について.

  • 産卵期は3–4 月[1].
  • 雌は地面に巣穴を掘って9–71 個の卵を産み、65–115 日間で頭胴長70–80 mmぐらいの幼体が孵化する[1].
  • 体サイズが大きいメスほど産卵数が大きい傾向にある[5].
その他

[コメント]

 本種は広域分布種ということもあり、生活史形質の地域間比較に基づく研究や潜水行動時における代謝についての研究といった豊富な先行研究が見つかった。また、多くの地域で移入・定着しており、保全の観点からの研究も多く見つかった。日本における本種の詳細な生態が報告されていなかったので、増えてほしいです。

執筆者:柳原諒太朗


引用・参考文献

  1. 高橋洋生. 2021. グリーンイグアナ. 日本爬虫両棲類学会(編), 新 日本両生爬虫類図鑑. サンライズ出版: 129–130.
  2. 国立環境学研究所. グリーンイグアナ / 国立環境研究所 侵入生物DB (nies.go.jp). (2024年3月4日アクセス)
  3. Bock, B., Malone, C.L., Knapp, C., Aparicio, J., Avila-Pires, T.C.S., Cacciali, P., Caicedo, J.R., Chaves, G., Cisneros-Heredia, D.F., Gutiérrez-Cárdenas, P., Lamar, W., Moravec, J., Perez, P., Porras, L.W., Rivas, G., Scott, N., Solórzano, A. & Sunyer, J. 2022. Iguana iguana (amended version of 2020 assessment). The IUCN Red List of Threatened Species 2022: e.T174481A218317281. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2022-2.RLTS.T174481A218317281.en. (2024年3月4日アクセス)
  4. 環境省. 生態系被害防止外来種リスト. 生態系被害防止外来種リスト | 日本の外来種対策 | 外来生物法 (env.go.jp)(2024年4月2日アクセス)
  5. Wouter D. van Marken Lichtenbelt and Koen B. Albers. 1993. Reproductive Adaptations of the Green Iguana on a Semiarid Island. Vol. 1993, No. 3 (Aug. 18, 1993), pp. 790-798 (9 pages)
  6. E. R. Dunn. 1934. Notes on Iguana. COPEIA. 1934(1). pp.1–5.
  7. Moberly, W. R. 1968. THE METABOLIC RESPONSES OF THE COMMON IGUANA, IGUANA IGUANA, TO ACTIVITY UNDER RESTRAINT. In Biochem. Physiol (Vol. 27). pp.1–20. Pergamon Press.

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