ツクバハコネサンショウウオ

Onychodactylus tsukubaensis Yoshikawa et Matsui, 2013

両生綱 > 有尾目 > サンショウウオ科 > ハコネサンショウウオ属 > ツクバハコネサンショウウオ

  • オスの成体(茨城県)(許可を受けて採集された個体)
概要

[英名]

  • Tsukuba clawed salamander

[大きさ] [3]

  • 全長  12~16cm
  • 頭胴長  6~7cm

[説明]

  • 日本固有種。筑波山系のみに分布する。
  • 他のハコネサンショウウオ属の種と比べて、尾が短いのが特徴。
  • 背面に明瞭な赤褐色または黄褐色の幅広い縦条を持つ。
  • 繁殖期は初夏で、渓流の伏流水中に1対の卵嚢を生む。

[保全状況]

  • 環境省レッドリスト2020:絶滅危惧IA類(CR)
  • 茨城県レッドリスト2016:絶滅危惧IB類
  • 国内希少野生動植物種
分布

[分布] [4]

  • 茨城県の筑波山系のみに分布する
分類

[分類][4]

  • 両生綱 > 有尾目 >サンショウウオ科 > ハコネサンショウウオ属

[タイプ産地] [4]

  • 茨城県筑波山系

[学名の由来][4]

  • タイプ産地である筑波山系に由来する。

[説明] [4, 5, 6]

  • 本種はタダミハコネサンショウウオ及びバンダイハコネサンショウウオと比較的近縁で、系統樹上で単系統群を形成する。
体の特徴

[形態][3, 4]

  • 体は中型で、尾が短い。メスの尾長は頭胴長より短く、オスの尾長は頭胴長と同程度。
  • 肋条数は12本。左右の鋤骨歯列は明瞭に湾曲し、歯列の間に隙間がない。
  • 背面は灰色がかった茶色ないし、紫がかった灰色で、明瞭な赤褐色または黄褐色の幅広い縦条ないし、まだら状の模様がある。
  • 腹面と側面には銀白色の点が散在する。

[他種との違い][3]

  • 同所的に分布する同属種はいないので、生息地で同定に迷うことはない。
  • 同属他種とは、本種は尾が顕著に短く、オスで頭胴長の100%程度、メスで頭胴長の90%程度であることから見分けられる。
生態

[繁殖][3]

  • 野外で卵嚢が見つかったことはないが、5月下旬から6月中旬に山地渓流源頭部の伏流水中で産卵すると推定されている。

[卵][3]

  • 1卵嚢対中の卵数は16~18個。

[幼生][4]

  • 指先に黒い角質の爪を持つ。
  • 孵化直後の個体は黄灰色の背面に薄い黒点が散在する。腹面は白色で半透明。

執筆者:叶林芸

撮影にあたり、吉川夏彦博士(国立科学博物館)にご協力いただきました。この場でお礼を申し上げます。


引用・参考文献

  1. 茨城県レッドリスト https://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/shizen/tayousei/redbook/documents/ibaraki_rdb2016_4web.pdf          閲覧日2022/3/23
  2. 環境省レッドリスト<http://www.env.go.jp/press/files/jp/114457.pdf> 閲覧日2022/3/23
  3. 松井正文・森哲. 2021. 新日本両生爬虫類図鑑.
  4. Yoshikawa, N., & Matsui, M. (2013). A new salamander of the genus Onychodactylus from Tsukuba mountains, eastern Honshu, Japan (Amphibia, Caudata, Hynobiidae). Current Herpetology, 32(1), 9-25.
  5. Yoshikawa, N., Matsui, M., Nishikawa, K., Misawa, Y., & Tanabe, S. (2010). Allozymic variation in the Japanese clawed salamander, Onychodactylus japonicus (Amphibia: Caudata: Hynobiidae), with special reference to the presence of two sympatric genetic types. Zoological science, 27(1), 33-41.
  6. Yoshikawa, N., Matsui, M., Nishikawa, K., Kim, J. B., & Kryukov, A. (2008). Phylogenetic relationships and biogeography of the Japanese clawed salamander, Onychodactylus japonicus (Amphibia: Caudata: Hynobiidae), and its congener inferred from the mitochondrial cytochrome b gene. Molecular Phylogenetics and Evolution, 49(1), 249-259.

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