ヨナグニスベトカゲ

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Scincella dunan Koizumi, Ota, et Hikida, 2022

爬虫綱 > 有隣目 > トカゲ科 > スベトカゲ属 > ヨナグニスベトカゲ

概要

[大きさ]　

  • 頭胴長 3.4～5.1 cm[2]

[説明]

  • 非常に短い手足を持つトカゲ類
  • 与那国島にのみ分布する
  • 形態・遺伝的に大きく異なることから、2022年にサキシマスベトカゲより分ける形で記載された
分布

[分布]

  • 与那国島にのみ分布する[2]

[生息環境］

  • 広葉樹林の林床でよく見られる[2, 5]
分類

［分類］

  • 爬虫綱 > 有鱗目 > トカゲ科 > スベトカゲ属 > ヨナグニスベトカゲ

［タイプ産地］

  • Yonagunijima Island (24°26’43.8” N, 122°57’34.4” E) of the YaeyamaGroup, Ryukyu Archipelago (沖縄県与那国町与那国) [2]

［説明］

  • 種小名は与那国島の別名である”渡難(どなん)”に由来する[2]
  • 本属は35種ほどを含み、北米、中米、東アジア、ヒマラヤ、インドシナにかけて分布する[4]
  • 国内ではヨナグニスベトカゲのほか、与那国島以外の八重山諸島、宮古諸島に分布するサキシマスベトカゲ、対馬に分布するツシマスベトカゲおよび尖閣諸島に分類学的帰属が不明な種が分布する[2, 4]
  • 本種はサキシマスベトカゲ、台湾のS. formosensisと遺伝的に近縁である[1, 2]
体の特徴

［形態］[2]

  • 背面は褐色～暗褐色で、黒色の微小な斑点が散在する。体側は暗褐色となり、白褐色の斑紋が散在する。
  • 体鱗は胴の中央部で26～29列。
  • 頭部は小さくて細く、吻は短い。四肢は細く、短い

［似た種との違い］

  • 与那国島ではキシノウエトカゲがヨナグニスベトカゲと同様に地表部に生息する。両種は体長が大きく異なるほか、キシノウエトカゲが白色の縦条が入るのに比べ、ヨナグニスベトカゲは縦条は入らず、体側が黒褐色となる。
  • 北・中琉球列島に分布するヘリグロヒメトカゲ属と形態が似るものの、スベトカゲ属の側頭板・頚板・前肛板が明瞭に大形になるのに対し、ヘリグロヒメトカゲ属は大形にならず、胴部と同じ小型の鱗となる[4]
  • 八重山諸島と宮古諸島に分布するサキシマスベトカゲはヨナグニスベトカゲと異なり、胴部の体側上半分のみの暗褐色の縦条となり、上縁・下縁が白色で明瞭に縁取られる。対馬に分布するツシマスベトカゲは体側の暗色帯の下縁が不明瞭となる[2, 4]
サキシマスベトカゲ
ツシマスベトカゲ
生態

［活動時間］

  • 昼行性[2, 5]

［食性］

  • 不明
  • 近縁なサキシマスベトカゲは、主に地表にいる無脊椎動物を捕食する[6]

［繁殖］[2, 3, 5]

  • 卵生
  • 3月に抱卵したメスが確認されている
  • 1992年当時のヨナグニスベトカゲを含むサキシマスベトカゲの研究では、一腹卵数4～11個程度
その他

［その他］

  • 記載されたばかりであり、生態は不明な点が多い。より詳細な研究が望まれる

執筆者：高田賢人

引用・参考文献

  1. Koizumi, Y., Ota, H. & Hikida, T. (2014). Phylogeography of the two smooth skinks, Scincella boettgeri and S. formosensis(Squamata: Scincidae) in the southern Ryukyus and Taiwan, as inferred from variation in mitochondrial cytochrome bsequences. Zoological Science, 31 (4), 228–236.
  2. Koizumi, Y., Ota, H. & Hikida, T. (2022). A new species of the genus Scincella (Squamata: Scincidae) from Yonagunijima Island, Southern Ryukyus, Japan. Zootaxa, 5128(1), 61-83.
  3. Okada, S., Ota, H., Hasegawa, M., Hikida, T., Miyaguni, H. & Kato, J. (1992) Reproductive traits of seven species of Lygosomine skinks (Squamata: Reptilia) from East Asia. Natural History Research, 2 (1), 43–52.
  4. 岡本卓・栗田和紀. (2021). スベトカゲ属. 新 日本両生爬虫類図鑑. サンライズ出版, 滋賀:141–142.
  5. Ota, H. (1983). On the herpetofauna of the Yaeyama Group, Ryukyu Archipelago (I). The biological magazine Okinawa, 21,13–19.
  6. 大谷勉. (2010). サキシマスベトカゲ. 日本の爬虫類・両生類飼育図鑑. 誠文堂新光社. 東京: 107.