アオカナヘビ

Takydromus smaragdinus Boulenger, 1887

爬虫綱 > 有鱗目 > カナヘビ科 > カナヘビ属 > アオカナヘビ

  • 成体(沖縄島)
概要

[大きさ] 

  • 頭胴長 50 – 72 mm, 尾長は頭胴長の300 – 350%程度[4, 5]

[説明]

  • トカラ列島~沖縄諸島にかけて分布する緑色のカナヘビ
  • 非常に長い尾を持つ
  • 主に樹上で生活する

[保全状況]

  • 絶滅の恐れのある地域個体群(沖永良部島・徳之島)_環境省レッドリスト2020
分布

[分布]

  • トカラ列島(宝島・小宝島)、奄美諸島および沖縄諸島の主要な島々[4, 5]

[生息環境]

  • 林縁部や草むらなど、日当たりの良い場所に多く生息する[4]
分類

[分類]

  • 爬虫綱 > 有鱗目 > カナヘビ科 > カナヘビ属 > アオカナヘビ

[タイプ産地] 

  • Loo Choo (琉球: 奄美大島あるいは沖縄島と想定されている)[1, 5]

[説明]

  • 種小名の”smaragdinus“はエメラルドを意味し、その体色に由来する[1, 6]
  • ロンドン自然史博物館にレクトタイプが保管されている[5]
  • 本種は八重山諸島に分布するサキシマカナヘビや台湾に分布するTakydromus sauteriと遺伝的に近縁である[3]
体の特徴

[形態][1, 4, 5]

  • 背面は緑色~黄緑色で、腹面は白色~黄白色。目の下から体側を通り、後肢の基部で途切れ、尾の基部に達する白色~黄白色の細い線が入る。雄と雌で体色が異なり、雄では体側に茶褐色の帯が表れ、尾が褐色であるのに対し、雌は体側、尾ともに緑色である。ただし、これには個体変異・地域変異が大きく、徳之島では雌雄ともに背面・側面が緑色~黄緑色となる。
  • 背面の鱗は頭頂板直後から後方に向かって大きくなり、胴では8~10列のキールのある鱗が並ぶようになる。腹板は6列。
  • 体、四肢ともに細長い。尾は非常に長く、頭胴長の3~3.5倍にもなる。
  • 太ももの裏には鼠径孔が1対存在する。

[似た種との違い]

  • 奄美諸島や沖縄諸島ではアオカナヘビと同様の林縁部にオキナワキノボリトカゲが生息するが、形態は大きく異なる。また、沖縄島や座間味島ではグリーンアノールと分布が重なる。グリーンアノールは喉に帆のように広がる咽喉垂を持つが、アオカナヘビにはない。また、アオカナヘビよりも体に対して頭部が大きい。
  • 八重山諸島に分布するサキシマカナヘビは、アオカナヘビと比べて背鱗の列数が多く(10列以下 vs 10~14列)、鼠径孔の数も多い(1対 vs 2~3対)。宮古諸島に分布するミヤコカナヘビはアオカナヘビと比べて腹板の列数が多く(6列 vs 8列)、アオカナヘビには見られる目の下から尾の基部にかけて入る、白~黄白色の線がない[4, 5]
生態

[食性]

  • 昆虫類など小型の無脊椎動物を食べるとされる[7]

[繁殖][2, 4]

  • 春から夏にかけて、複数回産卵する
  • 一腹卵数は1~3個(通常は2個)
  • 生まれた翌年に成熟する
その他

執筆者:高田 賢人


引用・参考文献

  1. Boulenger, G.A. 1887. On a collection of reptiles and batrachians made by Mr. H. Pryer in the Loo Choo Islands. Proc. Zool. Soc. London 1887: 146-150.
  2. 仲本盛浩. 1993. アオカナヘビの飼育下における交尾および産卵の一例. AKAMATA 8, 23-24.
  3. Ota, H., Honda, M., Chen, S. L., Hikida, T., Panha, S., Oh, H. S., & Matsui, M. 2002. Phylogenetic relationships, taxonomy, character evolution and biogeography of the lacertid lizards of the genus Takydromus (Reptilia: Squamata): a molecular perspective. Biological Journal of the Linnean Society 76(4), 493-509.
  4. 竹中 践. 2021. カナヘビ科. 新 日本両生爬虫類図鑑. サンライズ出版, 滋賀:146–154.
  5. Takeda, N. & Ota, H. 1996. Description of a new species of Takydromus from the Ryukyu Archipelago, Japan, and a taxonomic redefinition of T. smaragdinus BOULENGER 1887 (Reptilia: Lacertidae). Herpetologica 52 (1): 77-88.
  6. The Reptiles Database. 2022. Takydromus smaragdinus BOULENGER, 1887. The Reptiles Database <https://reptile-database.reptarium.cz/species?genus=Takydromus&species=smaragdinushttps://reptile-database.reptarium.cz/species?genus=Takydromus&species=smaragdinus>, 参照: 2022年8月26日
  7. 内山りゅう・前田憲男・沼田研児・関慎太郎.2002. 決定版日本の両生爬虫類. 平凡社, 東京. p336.