ハロウエルアマガエル

Hyla hallowellii Thompson,1912

両生綱 > 無尾目 > アマガエル科 > ヨーロッパアマガエル属

  • 鳴くオス成体(沖縄島)
概要

[大きさ] 

  • 体長 3–4 cm

[説明]

  • 奄美から沖縄島にかけて分布する、小型の樹上性カエル。ニホンアマガエルと比べて細身の体型をしている。繁殖期には人里近くでも盛んに鳴く。

[保全状況]

  • 環境省レッドリスト2020 未掲載

分布

[分布]

  • 奄美群島(喜界島、奄美大島、加計呂麻島、与路島、請島、徳之島、与論島)と、伊平屋島および沖縄島北部に分布。[1]
  • 西表島から本種と思しき2個体が1969年に採集されているが、その後は全く見つかっていない。[2]

[生息環境]

  • 産卵池となる水辺環境を含む森林内で生活する。樹上性。繁殖期には低地の水田や市街地でも姿を見やすい。[1]
分類

[分類]

  • 両生綱 > 無尾目 > アマガエル科 > ヨーロッパアマガエル属 > ハロウエルアマガエル

[タイプ産地] 

  • 喜界島

[説明]

  • 学名は日本の両生類爬虫類を研究したEdward Hallowell氏に献名したもの。[3]
  • 遺伝的には台湾や中国本土に分布するシナアマガエル(H. chinensis)に近いと考えられ[4]、日本国内に分布するニホンアマガエル(Dryophytes japonicus)とは別属となっている[5]。種内での島間の遺伝的変異はかなり小さい[4]。
体の特徴

[形態]

  • 背面は一様な黄緑色で、腹側は白い。鼻先からわき腹にかけて褐色の線や点列が見られる。
  • 鼻先は尖らず、裁断状に角ばる。水かきはやや発達し、指先には吸盤が見られる。

[似た種との違い]

ハロウエルアマガエルアオガエル類
体長小さい(成体で3–4 cm)大きい(成体で4–8 cm)
模様鼻先からわき腹にかけて線状の模様が通る線状の模様はない
鼻先裁断状に角ばる尖る
ハロウエルアマガエル
アマミアオガエル
生態

[繁殖]

  • 繁殖期は3–5月で、水田や池などの止水域に産卵する。[1]

[卵]

  • 直径1.2mmほどの小さな卵を水中に産む。[3]

[幼生]

  • 全長40mmに達する。アマガエルらしい特徴として、両目の間隔が広く、上から見ると体側面に突き出して見える。また尾びれは胴体の前半部分から始まる。[3]

その他

[コメント]

  • 生態については定性的な情報がいくらかあるばかりで、十分に調べられていない点が多いようです。

このページはパンナコッタさまのご支援で作成されました。

執筆者:木村楓
2023年6月14日 野田叡寛が一部改訂
2023年10月23日 木村楓が一部改訂


引用・参考文献

  1. 沖縄県環境部自然保護課. 2017. 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物第三版(動物編).
  2. Matsui, M., and T. Matsui. 1982. Hyla hallowelli recorded from Iriomotejima, Yaeyama group, Ryukyu Archipelago. Japanese Journal of Herpetology 9:79–86.
  3. 松井正文. 2018. 日本産カエル大鑑. 文一総合出版, 東京.
  4. Kuraishi, N., Matsui, M., Ota, H., & Eto, K. 2020. Unique evolution of Hyla hallowellii among amphibians of the Central Ryukyus, Japan (Anura: Hylidae). Zoological science, 38(2): 112-121.
  5. Duellman, W. E., Marion, A. B., & Hedges, S. B. 2016. Phylogenetics, classification, and biogeography of the treefrogs (Amphibia: Anura: Arboranae). Zootaxa, 4104(1): 1-109.

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