Hynobius sengokui Matsui, Misawa, Yoshikawa et Nishikawa, 2022
両生綱 > 有尾目 > サンショウウオ科 > サンショウウオ属
概要
[大きさ]
[説明]
福島県東南部から茨城県にかけて分布するトウキョウサンショウウオが、近年の遺伝的な解析から新種として独立したもの。 3–4月にクロワッサン型の卵嚢を止水域に産む。
[保全状況]
環境省レッドリスト2020 絶滅危惧II類(トウキョウサンショウウオとして)
分布
[分布]
[生息環境]
標高300 m ほどまでの森林周辺に生息する。 [1, 2]
分類
[分類]
両生綱 > 有尾目 > サンショウウオ科 > サンショウウオ属 > イワキサンショウウオ
[タイプ産地]
[説明] [1]
トウキョウサンショウウオ と最近縁で、長く同種とみなされてきた。しかし遺伝的に分化していることから2022年に独立種として記載された。学名の sengokui は、両生類・爬虫類に関する普及啓発に多大な貢献をした千石正一氏への献名。
体の特徴
[形態] [1]
体色は背面が黄褐色で、腹面は灰色。腹面に銀白色の小点が散る場合もある。尾に黄色の縦条をもたない。 助骨歯列はU字型。肋条数は11–12本。四肢は短く、前後肢を体側に沿って伸ばしても触れ合わないことが多い。尾は側扁する。
[似た種との違い]
他の止水性小型サンショウウオと分布域は重複しないが、トウホクサンショウウオの福島県の個体群、およびトウキョウサンショウウオ の栃木県の個体群と近接する。
トウホクサンショウウオとの識別では、以下の点が役立つ。
四肢の長さ 卵嚢 イワキサンショウウオ 短い(体側に沿って前後肢を伸ばしても触れ合わない) クロワッサン型で、条線をもたない トウホクサンショウウオ やや長い(体側に沿って前後肢を伸ばすと触れ合う) 太い紐状で、明瞭な条線をもつ
長く同種とされてきたトウキョウサンショウウオとは近縁で形態的にもよく似る。本種のほうが前後肢間距離が長い、助骨歯列が深いといった傾向があるが、計測値はかなり重複する。[1]
生態
[繁殖]
繁殖期は3–4月。主に湧水による池や水田などの止水域で産卵する。[1]
[卵]
卵嚢はクロワッサン型で、水中の石の下や植物体に産み付けられる。一腹卵数は30–100個。[1]
その他
[その他]
近年の温暖化によって成長期が伸び、体サイズや産卵数が増加したことが示唆されている。[3]
執筆者:木村楓
2022年10月 執筆・公開
引用・参考文献
Matsui M, Misawa Y, Yoshikawa N, Nishikawa K (2022) Taxonomic reappraisal of Hynobius tokyoensis, with description of a new species from northeastern Honshu, Japan (Amphibia: Caudata). Zootaxa 5168:207–221 草野保. (2016) 種分布モデリングによるトウキョウサンショウウオの好適生息環境の予測. 爬虫両棲類学会報 2016:135–146 Okamiya H, Hayase N, Kusano T (2021) Increasing body size and fecundity in a salamander over four decades, possibly due to global warming. Biol J Linn Soc Lond 132:634–642
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