ブチサンショウウオ

Hynobius naevius (Temminck et Schlegel, 1838)

両生綱 > 有尾目 > サンショウウオ科 > サンショウウオ属

概要

[大きさ]　

[説明]

九州北西部の山地に分布する、流水性サンショウウオ。かつては西日本に広く分布すると考えられていたが、複数種に分割され、現在では福岡西部から長崎までの集団のみを指す。
紫紺色の地色で、体側には銀灰色の斑紋をもつが、背面には模様がないことが特徴。

[保全状況]

分布

[分布] [2]

[生息環境］[1]

分類

［分類］

［タイプ産地］　

［説明］

【分類上の変遷】もともとは古く、江戸時代にシーボルトがオランダに持ち帰った標本から記載された種である。かつては岐阜県から九州まで西日本に広く分布するとされ、そのなかに複数の型があることは1940年代に指摘されていたが、長く地方型と捉えられていた [4]。しかし2000年代になって遺伝学的な解析が進むと、小型集団をコガタブチサンショウウオという独立種とすることが広く認められるようになった [5]。さらには、ブチサンショウウオはその後分布域の異なる３種に分割され、現在では九州の特に北西部に分布する集団のみを指すことになった（残りの２種は九州北東部に分布するチクシブチと、中国地方に分布するチュウゴクブチ）[2]。

体の特徴

［形態］[1,2]

茄子紺色の地色で、体側に灰白色の斑紋をもつが、背面には模様がないことが特徴。比較的大型（頭胴長で平均75mmほど）。尾は短めで、後方では扁平となる。助骨歯列はやや深いV字。肋条はふつう13本。後肢の第5趾はよく発達する。

［似た種との違い］

同所的に分布する流水性（山地性）のサンショウウオはいないため、野外での同定は難しくない。低地にはカスミサンショウウオが生息するが、体色で見分けることができる。具体的には、カスミでは地色が褐色であること、また尾の辺縁部が橙色になっている。

生態

［繁殖］[1]

［卵］[1,6]

［幼生］[1]

その他

執筆者：木村楓

執筆・公開 2022年3月

引用・参考文献

日本爬虫両生類学会 (2021) 新日本両生爬虫類図鑑. サンライズ出版, 滋賀県
Tominaga A, Matsui M, Nishikawa K (2019) Two new species of lotic breeding salamanders (Amphibia, Caudata, Hynobiidae) from western Japan. Zootaxa 4550:525
Tominaga A, Matsui M (2007) Estimation of the type locality of Hynobius naevius (Temminck and Schlegel, 1838), a salamander from Japan (Amphibia: Caudata). Zoolog Sci 24:940–944
佐藤井岐雄. 1943. 日本産有尾類総説. 日本出版社.
Tominaga A, Matsui M (2008) Taxonomic status of a salamander species allied to Hynobius naevius and a reevaluation of Hynobius naevius yatsui Oyama, 1947 (Amphibia, Caudata). Zoolog Sci 25:107–114
手塚あゆみ・立脇康嗣・岸田治. (2012) ブチサンショウウオ福岡-佐賀県個体群の卵嚢内卵数と胚重量. 爬虫両棲類学会報 2012:109–111